アメリカ映画– tag –
-
鑑賞ノート
『ジキル博士とハイド氏』(1931)|二人のハイド、異なる恐怖と悲劇
1920年の無声映画『狂へる悪魔』に続いて、1931年版『ジキル博士とハイド氏』を観た。 同じ小説を原作とする二作品だが、ハイド氏から受ける印象は大きく異なっていた。1920年版では気味の悪さを感じたのに対し、1931年版では人間の欲望と残酷さに恐怖を感... -
鑑賞ノート
『狂へる悪魔』(1920)感想|ジョン・バリモアは表情だけで別人になる
1920年制作のアメリカ映画『狂へる悪魔』を観た。 原題は『Dr. Jekyll and Mr. Hyde』。ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』を映画化した作品である。 何より驚いたのは、主演ジョン・バリモアの演技だった。 同じ俳優がジ... -
鑑賞ノート
ヴェルヌが書かなかった殺人事件——『地底探検』(1959)はなぜ「敵」を必要としたのか
ジュール・ヴェルヌの『地底旅行』を初めて読んだとき、私は驚いた。映画『地底探検』(1959)の印象が強烈だったからだ。 映画では、物語の序盤で学者が何者かに殺害され、主人公たちも命を狙われる。緊迫したサスペンスが全編を貫く。ところが原作には、そ... -
鑑賞ノート
機械に判断を委ねる恐怖——1983年の映画が、2026年のAI社会を予言していた件 『ウォー・ゲーム』(WarGames、1983年)
あの頃、ぼくはテレビに釘付けだった 小学生のころ、テレビで何度も見た映画がある。 『ウォー・ゲーム』だ。 当時のぼくにとって、この映画のどこが面白かったかといえば、主人公の少年がコンピュータをいじくり回してハッキングするシーンの格好よさ、そ... -
鑑賞ノート
独裁者を笑え――『担へ銃』から『独裁者』へ、チャップリンが22年かけて完成させた「権力への嘲笑」
はじめに 1918年10月、第一次世界大戦の休戦協定締結まで残りわずか数週間という時期に、チャールズ・チャップリンの短編映画『担へ銃』が公開された。その22年後の1940年、チャップリンは長編トーキー映画『独裁者』を世に送り出す。 二作品の間には二つ... -
鑑賞ノート
距離が育てた愛、霧が隠していた地獄——映画『深い谷の間に』ネタバレレビュー
ロマンス、SFホラー、アクション、政治スリラー——これだけのジャンルを一本に押し込んだら、たいていは収拾のつかない散漫な作品になる。ところが『深い谷の間に』は、そのすべてが「谷」という一点に収束していく構造になっており、観客は気づけばジャン... -
お店と日々
非日常はすぐそばにある
行きたいな〜、GWはどっかに・・・海外旅行に行きたいな〜 こういう映画見ると、そう思っちゃう。 まあ、観光地で飲食業をしているので、絶対無理だけど・・・ 出典:ameblo.jp 1959年の映画『地底探検』は、ジュール・ヴェルヌの古典をハリウッドが映像化... -
鑑賞ノート
なぜ我々はマレフィセントに惹かれるのか? – 善を凌駕する「純粋な悪」の魅力
ディズニー映画『眠れる森の美女』を観たとき、私たちの心に最も深く刻まれるのは、オーロラ姫の優雅な美しさだろうか。それとも、フィリップ王子の勇敢な姿だろうか。もちろん、それらも物語の重要な要素だ。しかし、多くの人がこの作品を語るとき、主役... -
鑑賞ノート
なぜ日本の透明人間は“善人”なのか? – 日米『透明人間』像から透ける、罪と罰の倫理観
もし、誰の目にも見えなくなったら、あなたは何をするだろうか。 この根源的な問いは、古くはプラトンの『国家』に登場する「ギュゲスの指輪」の逸話から、現代に至るまで、私たちの倫理観を揺さぶり続けてきた 。姿が見えないという究極の自由と匿名... -
鑑賞ノート
冗談が裏切った瞬間:『ジョーカー』とBee Geesが紡ぐ悲劇の系譜
冗談が裏切った瞬間:『ジョーカー』とBee Geesが紡ぐ悲劇の系譜 過去に印象に残った動画を久しぶりに見たので、それについて書いていこうと思う。その動画は、2019年公開の映画『ジョーカー』の予告編を編集したもので、Bee Geesの名曲「I Started a Joke...