考察– tag –
-
鑑賞ノート
ヒルダからラナ、シータへ――大人になって見えた『太陽の王子 ホルスの大冒険』の新しさ
『太陽の王子 ホルスの大冒険』を見始めたとき、最初に思い出したのは『未来少年コナン』だった。 荒々しい自然。よく動く少年。崖や海や氷を舞台にした冒険。古いアニメーションらしい素朴な線と、どこか民話のような世界。画面を見ながら、これは後の宮... -
鑑賞ノート
人となった鬼と、正義のあいまいさ ――『大江山酒天童子』(1960)
日本の三大鬼伝説のひとつに数えられる「大江山の酒呑童子」。その物語は長い年月をかけて形を変えながら、私たちの想像力の中に根付いてきた。 鬼が都から人をさらい、酒を好み、最終的に源頼光とその四天王によって首を刎ねられる――という筋立ては、勧善... -
鑑賞ノート
『暴落:事業に失敗した男』――削られた82分の中に消えた顔たち
韓国映画『暴落:事業に失敗した男』は、2025年1月に劇場公開され、同年4月にNetflixで配信された後、韓国国内の視聴ランキングで一気に1位へと駆け上がった作品である。 50兆ウォン規模の資金が消えたとされる仮想通貨大暴落事件をモチーフにし、青年実業... -
鑑賞ノート
スポックが悪役になる日――レナード・ニモイというキャスティングの罠
『刑事コロンボ』には、ゲストスターの「顔」そのものが仕掛けになっているエピソードがいくつかある。第15話「溶ける糸」は、その中でも最も精巧に組み立てられた一本だ。犯人を演じるのはレナード・ニモイ。その名前だけで、1973年の視聴者には何かが伝... -
鑑賞ノート
アン・バクスターが『イヴの総て』を演じ直す日
『刑事コロンボ』第14話「偶像のレクイエム」には、キャスティングそのものが仕掛けになっているという、珍しい構造がある。犯人役のノーラ・チャンドラーを演じるのはアン・バクスター。その名前を聞いた瞬間、ある映画を思い出す人がいるはずだ。 『イヴ... -
鑑賞ノート
パク・ウンビンに開眼した―『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』と韓流ロマンスへの苦手意識の行方
韓流ロマンスへの、ある種の苦手意識 「冬のソナタ」や「愛の不時着」がそうであったように、韓国ドラマといえば、いかにも恋愛ドラマ的なものが長らく人気の中心にあった。特にいわゆる"おばさま方"に絶大な支持を得てきたことは、世間的にもよく知られて... -
鑑賞ノート
何事もなかったように弾き続ける男 『ピアニストを撃て』の壮大なバッドエンド
フランソワ・トリュフォー監督の『ピアニストを撃て』は、犯罪映画の装いをまといながら、一人の男が愛することへの勇気を失っていく過程を描いた作品である。 ギャングに追われる兄弟、誘拐、銃撃戦といった出来事が軽快なテンポで連なっていく。しかし、... -
鑑賞ノート
「妻を捜す夫」が犯人だった――『鵜頭川村事件』と自己欺瞞の構造
『連続ドラマW 鵜頭川村事件』(2022年、WOWOW)は、失踪した妻を捜す医師・岩森明を主人公にする。話の筋は途中からなんとなく予測がつく部分もあるのだが、WOWOWの連続ドラマWらしく尺が短いぶん、ダレずに最後まで見切れた。 見終えたあとに残るのは謎... -
鑑賞ノート
愛するジャンルが自縄自縛になるとき——『ロンドンの傘』とマクベスの亡霊
『刑事コロンボ』の中で、本作ほど評価が二極化するエピソードはない。熱烈なファンがいる一方で、シリーズ最低作の一つに挙げる声も根強い。その理由を探ると、二つの問題が絡み合っていることがわかる。 ひとつは、英国ミステリーへの「愛」が描写の精度... -
鑑賞ノート
証拠は「あるもの」だけではない――コロンボが発見した「不在の証明」
はじめに 推理小説における証拠とは、ふつう「残されたもの」だ。足跡、指紋、目撃証言、遺留品。探偵はそれらを拾い集め、犯人へと辿り着く。 だが『刑事コロンボ』第12話「アリバイのダイヤル」は、その常識をひっくり返す。コロンボ警部が犯人ポール・...