考察– tag –
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鑑賞ノート
PK戦の向こうへ、パラグアイがドイツを越えた
決勝トーナメントには、ときどき大会全体の空気を変えてしまう試合がある。 強い国が順当に勝つ試合もある。優勝候補が苦しみながらも、最後は力で押し切る試合もある。だが、このドイツ対パラグアイは、そうではなかった。 ドイツ 1-1 パラグアイ。延長12... -
鑑賞ノート
煉獄としての地下通路 ─ 映画『8番出口』、選択と罪の物語
白い回廊に迷い込んだ「世間」の男 蛍光灯だけが灯る、白く無機質な地下通路。タイルの継ぎ目、ポスターの配置、ひとつ先の曲がり角。どこか見覚えがある。いや、確かに見た。この場所を、今しがた通ったばかりだ。 映画『8番出口』(2025年、監督・川村元... -
お店と日々
『戦艦ポチョムキン』に学ぶ、カフェという集合の美学
夜の営業後、いつものように古い映画を観る。 1925年制作のソ連の映画『戦艦ポチョムキン』。白黒のサイレント映画だ。 ソ連国内の公開時のポスター出典:Wikipedia 画面には次々と顔が映る。怒る水兵、叫ぶ市民、行進する兵士。しかし不思議なことに、こ... -
鑑賞ノート
「緑山高校 甲子園編」レビュー|破天荒すぎる野球ギャグアニメの魅力を徹底解説【ネタバレあり】
1990年に放たれたOVA「緑山高校 甲子園編」は、野球アニメの常識を根底から覆した伝説的な作品です。従来のスポーツアニメが描いてきた「友情・努力・勝利」の美学を完全に無視し、代わりに「自己中心的な天才」と「理不尽なまでのパワー」を物語の中心に... -
鑑賞ノート
刑事コロンボ「指輪の爪あと」考察|計算された男が自分の感情に殺される
刑事コロンボというシリーズは、毎回冒頭で犯人が人を殺すところを見せる。視聴者は誰が殺したかを知った状態で、コロンボが何を手がかりにして、どうやってその人物を追い詰めるかを見届ける。謎解きではなく、崩壊の過程を見る構造だ。 「指輪の爪あと」... -
鑑賞ノート
「タンタラス」「レテ」「トリスタン」――神話の名前が語る呪いの物語
1966年のSFテレビドラマが、なぜシェイクスピアとギリシャ神話の名前を三つも重ねたのか。 偶然ではない。『スター・トレック 宇宙大作戦』第9話「悪魔島から来た狂人」(原題:Dagger of the Mind、1966年11月放送)は、惑星名・登場人物名に「永遠の渇望... -
鑑賞ノート
大人になることが死を意味する惑星――倒錯したピーター・パンと、ミリの涙
ネバーランドでは、子供たちは決して大人にならない。 それは夢の話だ。しかし『スター・トレック 宇宙大作戦』第8話「400歳の少女」(原題:Miri、1966年10月放送)が描くのは、悪夢の版だ。ここでは子供たちは大人になれない——正確には、大人になった瞬... -
鑑賞ノート
「古き者たちの教訓」――自分が作ったものに滅ぼされる、テクノロジーの倫理
はるか昔、Exo-IIIという惑星に「古き者たち」がいた。彼らは高度な文明を築き、自らに仕えるアンドロイドを作った。そしてアンドロイドは、創造主たちを滅ぼした。 理由は単純だった。「古き者たち」の感情的で非論理的な性質が、アンドロイド自身の存在... -
鑑賞ノート
美しさを売る男と、美しさを疑う女――『恐怖のビーナス』が暴く、自己肯定という物語の罠
「自分を信じれば、美しくなれる」 カーク船長はそう言った。そしてイヴ・マクヒューロンは、偽薬を飲んで美しさを取り戻した。物語はそこで幕を閉じる。 だが待ってほしい。カメラはソフトフォーカスを使っていた。完璧なメイクが施されていた。そして「... -
鑑賞ノート
悪なしでは生きられない――『二人のカーク』が問う、自己の闇と転送装置という哲学的装置
カーク船長は、自分の「悪」に向かってこう言った。 「君なしでは生きられない……君は私の力だ……君が必要なんだ。我々は一人の人間の半分ずつなのだから、二人とも生き延びる」 これは敵への降伏ではない。自分自身の暗い側面への、命がけの抱擁だ。 出典:...