日本映画– tag –
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鑑賞ノート
人となった鬼と、正義のあいまいさ ――『大江山酒天童子』(1960)
日本の三大鬼伝説のひとつに数えられる「大江山の酒呑童子」。その物語は長い年月をかけて形を変えながら、私たちの想像力の中に根付いてきた。 鬼が都から人をさらい、酒を好み、最終的に源頼光とその四天王によって首を刎ねられる――という筋立ては、勧善... -
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愛の不在を糧にする怪異、という寓話性 ―映画『来る』論
中島哲也監督の『来る』を見終えたときに印象に残るのは、恐怖というより一種の"居心地の悪さ"である。血飛沫や絶叫といった直接的な怖さよりも、この映画がじわじわと突きつけてくるのは、もっと個人的で、もっと日常的な恐怖――すなわち「自分は誰かを本... -
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演じ続けることに疲れた女性の物語――『スオミの話をしよう』を見て考えたこと
五つの顔の奥にあったもの ある夜、ふと考えていた。人を理解するということは、本当に可能なのだろうかと。三谷幸喜の『スオミの話をしよう』を見終えてから、その問いがしばらく頭から離れなかった。 物語の発端はシンプルだ。著名な詩人・寒川の妻、ス... -
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円谷英二と伊福部昭が隠れてる81分——「虹男」(1949)
怪奇映画だと思っていた 「透明人間」「ガス人間」「電送人間」——昭和のSF怪奇映画には、こういう「○○人間」系タイトルがある。だから「虹男」というタイトルを見たとき、自然とそのラインを連想した。虹色に発光する何かが人を襲う、あるいは虹の光を浴び... -
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愛は祖国に劣る——『陸軍中野学校』が描いた成熟の代償
増村保造監督による1966年の『陸軍中野学校』は、時代劇のスターであった市川雷蔵が、初めて現代劇に主演した異色作である。 実在した日本陸軍の諜報員養成機関を舞台に、士官学校を卒業したばかりの青年・三好次郎が、一年間の訓練を経て一人前のスパイへ... -
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居場所を探す巡礼——映画『獣道』が描いた、どこにも辿り着けない少女の物語
内田英治監督が2017年に手がけた本作は、実話をベースにしたブラックコメディである。地方都市で生まれた愛衣は、母親が新興宗教にのめり込んでいたこともあり、新興宗教施設、不良グループ一家、平凡な中流家庭などを転々とするも、自分の居場所を見つけ... -
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なぜカンヌは「切腹」を悲劇美と呼んだのか
1962年。小林正樹監督の「切腹」が世に出たとき、この映画はある奇妙な分裂を起こした。日本国内では、竹光で腹を切らせるという場面の凄惨さに、賛否が分かれた。 だが海を渡った先——カンヌの映画祭の客席では、同じ場面が、まったく違う表情で受け止... -
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映画を映画として見る、ということ――『ミステリー・アリーナ』を見て
お盆の忙しさがようやく落ち着いた夜、Amazonプライムを開いたら配信されていた。公開が2026年5月だから、もう3ヶ月も経っていない。思ったより早い。予告映像を見たときから気になっていた作品だったので、そのまま再生ボタンを押した。 あらすじをざっく... -
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「座頭市鉄火旅」(1967)—— 仕込み杖の寿命が問いかける、宿命と再生の物語
はじめに:シリーズ第15作の位置 1967年1月3日、正月映画として封切られた『座頭市鉄火旅』は、座頭市シリーズ第15作である。既に14本の作品で観客を魅了してきたこのシリーズは、この第15作において、極めて重要なモチーフを導入する。それが「仕込み杖の... -
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映画『死刑にいたる病』考察・ネタバレ解説|爪・灯里・原作との違い——すべては榛村の手のひらの上だった
「史上最悪の連続殺人鬼からの依頼は、たった1件の冤罪証明だった」——このキャッチコピーが、本作のすべてを語ってもいるし、何ひとつ語っていないとも言える。 2022年公開の映画『死刑にいたる病』は、『凶悪』『孤狼の血』の白石和彌監督が、櫛木理宇の...