鑑賞ノート– category –
映画・ドラマ・アニメ・本など、観たり読んだりした作品について綴るカテゴリーです。気軽な感想から、登場人物や物語、演出、時代背景について掘り下げた考察まで、作品をきっかけに書いた文章をまとめています。
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鑑賞ノート
草刈りの刃音と、乱歩の底知れぬ告白――『湖畔亭事件』を聴きながら
うちの墓は霊園のような共同墓地ではなく、「墓所」である。広さにして20数坪ほどある。 それだけの広さがありながら、手入れに通うのは自分ひとりだ。放っておけばあっという間に雑草に呑まれてしまうため、一年に何度も草刈りに足を運ばなければならない... -
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『狂へる悪魔』(1920)感想|ジョン・バリモアは表情だけで別人になる
1920年制作のアメリカ映画『狂へる悪魔』を観た。 原題は『Dr. Jekyll and Mr. Hyde』。ロバート・ルイス・スティーヴンソンの小説『ジキル博士とハイド氏』を映画化した作品である。 何より驚いたのは、主演ジョン・バリモアの演技だった。 同じ俳優がジ... -
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『人間椅子』の怖さは、確かめようのない話のほうにある
店の椅子を、お客さんにほめてもらうことがある。「いい椅子だね」と言われると、僕はいつも同じ話をする。昔、山小屋でカフェをしていた人が手作りした椅子らしい、と。 ただ、その話が本当かどうか、僕は知らない。 そういう椅子に毎日人を座らせている... -
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乱歩「双生児」――語られなかったのは、妻の気持ちだった
オーディブルで乱歩を順番に聴いている。現代ミステリーはほとんど読まないし、ビジネス書はどこかで聞いた話が半分で、あまり面白くない。結局、短い時間で聴ける昔の小説に戻ってくる。乱歩は全作品を読破するつもりでいて、「双生児」は50分足らずで終... -
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二十数分の乱歩「日記帳」が、店に着いても終わらなかった
江戸川乱歩の「日記帳」は、暗号ですれ違った二人の話として読まれることが多い。語り手の兄もそう結論する。ただ、日付を並べてみると、その結論は一つの読みにすぎないように思えてくる。 オーディブルで二十数分。買い出しの車の中で聞き終え、店に着く... -
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ヒルダからラナ、シータへ――大人になって見えた『太陽の王子 ホルスの大冒険』の新しさ
『太陽の王子 ホルスの大冒険』を見始めたとき、最初に思い出したのは『未来少年コナン』だった。 荒々しい自然。よく動く少年。崖や海や氷を舞台にした冒険。古いアニメーションらしい素朴な線と、どこか民話のような世界。画面を見ながら、これは後の宮... -
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人となった鬼と、正義のあいまいさ ――『大江山酒天童子』(1960)
日本の三大鬼伝説のひとつに数えられる「大江山の酒呑童子」。その物語は長い年月をかけて形を変えながら、私たちの想像力の中に根付いてきた。 鬼が都から人をさらい、酒を好み、最終的に源頼光とその四天王によって首を刎ねられる――という筋立ては、勧善... -
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『暴落:事業に失敗した男』――削られた82分の中に消えた顔たち
韓国映画『暴落:事業に失敗した男』は、2025年1月に劇場公開され、同年4月にNetflixで配信された後、韓国国内の視聴ランキングで一気に1位へと駆け上がった作品である。 50兆ウォン規模の資金が消えたとされる仮想通貨大暴落事件をモチーフにし、青年実業... -
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スポックが悪役になる日――レナード・ニモイというキャスティングの罠
『刑事コロンボ』には、ゲストスターの「顔」そのものが仕掛けになっているエピソードがいくつかある。第15話「溶ける糸」は、その中でも最も精巧に組み立てられた一本だ。犯人を演じるのはレナード・ニモイ。その名前だけで、1973年の視聴者には何かが伝... -
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アン・バクスターが『イヴの総て』を演じ直す日
『刑事コロンボ』第14話「偶像のレクイエム」には、キャスティングそのものが仕掛けになっているという、珍しい構造がある。犯人役のノーラ・チャンドラーを演じるのはアン・バクスター。その名前を聞いた瞬間、ある映画を思い出す人がいるはずだ。 『イヴ...