鑑賞ノート– category –
映画・ドラマ・アニメ・本など、観たり読んだりした作品について綴るカテゴリーです。気軽な感想から、登場人物や物語、演出、時代背景について掘り下げた考察まで、作品をきっかけに書いた文章をまとめています。
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鑑賞ノート
演じ続けることに疲れた女性の物語――『スオミの話をしよう』を見て考えたこと
五つの顔の奥にあったもの ある夜、ふと考えていた。人を理解するということは、本当に可能なのだろうかと。三谷幸喜の『スオミの話をしよう』を見終えてから、その問いがしばらく頭から離れなかった。 物語の発端はシンプルだ。著名な詩人・寒川の妻、ス... -
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円谷英二と伊福部昭が隠れてる81分——「虹男」(1949)
怪奇映画だと思っていた 「透明人間」「ガス人間」「電送人間」——昭和のSF怪奇映画には、こういう「○○人間」系タイトルがある。だから「虹男」というタイトルを見たとき、自然とそのラインを連想した。虹色に発光する何かが人を襲う、あるいは虹の光を浴び... -
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愛は祖国に劣る——『陸軍中野学校』が描いた成熟の代償
増村保造監督による1966年の『陸軍中野学校』は、時代劇のスターであった市川雷蔵が、初めて現代劇に主演した異色作である。 実在した日本陸軍の諜報員養成機関を舞台に、士官学校を卒業したばかりの青年・三好次郎が、一年間の訓練を経て一人前のスパイへ... -
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「給食絶対主義者」甘利田幸男に学ぶ、矜持と滑稽さの間にある誠実さ
タイトルだけでは分からなかったこと 「おいしい給食」という作品名を最初に目にしたとき、正直なところ、よくあるグルメドラマの一つだろうと思っていた。給食をテーマにした学園コメディ、教師と生徒の微笑ましいやり取り——そんな想像の範囲を出ないだろ... -
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居場所を探す巡礼——映画『獣道』が描いた、どこにも辿り着けない少女の物語
内田英治監督が2017年に手がけた本作は、実話をベースにしたブラックコメディである。地方都市で生まれた愛衣は、母親が新興宗教にのめり込んでいたこともあり、新興宗教施設、不良グループ一家、平凡な中流家庭などを転々とするも、自分の居場所を見つけ... -
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なぜカンヌは「切腹」を悲劇美と呼んだのか
1962年。小林正樹監督の「切腹」が世に出たとき、この映画はある奇妙な分裂を起こした。日本国内では、竹光で腹を切らせるという場面の凄惨さに、賛否が分かれた。 だが海を渡った先——カンヌの映画祭の客席では、同じ場面が、まったく違う表情で受け止... -
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あの頃の興奮はどこへ消えたか——『少年探偵団』を読み直して
大人になって読む『怪人二十面相』 正直に言うと、面食らった。『怪人二十面相』を読み始めたとき、それまで読んでいた江戸川乱歩の小説とは明らかに毛色が違うと感じたのである。「屋根裏の散歩者」や「心理試験」のような、じっとりとした人間の暗部を覗... -
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5000円で解決する事件、5000円では解決しない動機
きっかけは「水曜どうでしょう」だった。あの番組を通じて大泉洋という人を好きになり、ついでに、彼と一緒にハプニングに巻き込まれていく安田顕のドジっぷりにも、すっかり惹かれてしまった。 出典:SODANE そこから安田顕のファンになり、彼が出演して... -
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派手な解決を拒む物語 ― 横溝正史「裏切る時計」の味わい
横溝正史の短編「裏切る時計」を読んだとき、率直に言って拍子抜けした。ミステリーを読み慣れた者にとって、結末はあまりに地味で、ほとんど救いのない形で終わってしまう。だが、そのあっけなさが、かえって新鮮に感じられたのである。 物語は、妻を殺し... -
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嘘が嘘を呼ぶとき――『恐ろしき四月馬鹿』の二重構造
悪戯のはずが、本当の事件になった M中学校の寄宿舎で、4月1日の朝に「殺人事件」が発覚する。小崎という学生の部屋は血まみれで、格闘の跡があり、遺体がない。隣室の学生は誰も物音を聞いていない。容疑者は同室の栗岡、証拠は揃っている。しかし栗岡は...