ベルギーは大勝で首位へ、エジプトは歴史の突破。イランは待つ夜へ ワールドカップ2026・グループG最終節

グループ最終戦は、ひとつのゴールで景色が変わる。

それは自分たちの試合だけではない。同じ時間に行われているもう一つの会場でも、得点が入り、順位表が揺れる。勝ち点が並び、得失点差が意味を持ち、ひとつの引き分けが歴史になる。ワールドカップ2026、グループGの最終節も、そういう夜であった。

行われたのは、エジプト対イラン、そしてニュージーランド対ベルギー。グループはまだ混み合っていた。エジプトは勝ち点4、イランは勝ち点2、ベルギーも勝ち点2、ニュージーランドは勝ち点1。どの国にもまだ意味のある90分が残っていた。

結果は、エジプト 1-1 イラン。ニュージーランド 1-5 ベルギー。

この二つの結果によって、グループGはベルギーが勝ち点5で首位通過、エジプトも勝ち点5で2位通過となった。イランは勝ち点3で3位となり、他グループの結果を待つ立場になった。ニュージーランドは勝ち点1で大会を去ることになった。


エジプト対イランは、開始早々に動いた。

5分、マフムード・サーベルがゴールを決め、エジプトが先制する。モハメド・サラーのシュートのこぼれ球を押し込む形であった。エジプトにとって、この1点は重かった。勝ち点4で迎えた最終戦、引き分けでも前へ進める可能性がある中で、早い時間にリードを得たのである。

だが、イランもすぐに反応した。

11分、イランはPKを得る。しかし、メフディ・タレミのキックは決まらなかった。最終戦のPKは、ただのPKではない。決まれば同点。外れれば、重さだけが残る。イランにとっては、喉元まで来たチャンスがすり抜けた瞬間だった。

それでも、イランは沈まなかった。14分、ラミン・レザイアンが同点ゴールを決める。エジプトの守備の隙を突き、試合は1-1に戻った。開始からわずか15分ほどで、先制、PK失敗、同点。グループ最終戦らしい緊張が、一気に詰め込まれた時間であった。

その後、試合は簡単には動かなくなった。

出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN

エジプトは引き分けでも大きな意味を持つ。イランは勝てば自力で道を開ける可能性がある。そういう状況では、前に出る勇気と、失点を恐れる気持ちが同じ場所に並ぶ。エジプトにとっては、時計が進むこと自体が少しずつ味方になる。イランにとっては、時計が進むほど、残り時間が重くなる。

終盤、イランには大きな場面があった。

89分、タレミのヘディングがクロスバーを叩く。PKを外した男が、今度はゴールの枠にあと少しで届く。そこには、サッカーの残酷さがあった。そして後半アディショナルタイム、イランは混戦からゴールネットを揺らしたかに見えた。しかし、VAR確認の結果、オフサイドで取り消しとなった。

出典:Vietnam.vn

1-1。

この笛は、エジプトにとっては歴史の笛であった。ワールドカップで初めてグループリーグを突破し、決勝トーナメントへ進む。勝利ではない。引き分けである。しかし、その勝ち点1が国の歴史を変えた。エジプトは大きく勝ったわけではない。だが、必要な勝ち点を最後まで守り抜いた。

一方のイランにとっては、あまりにも苦い引き分けであった。

3試合すべて引き分け。勝ち点3。負けてはいない。それでも、2位には届かなかった。PK失敗、クロスバー、VARで取り消されたゴール。ひとつでも違っていれば、グループの景色は変わっていたかもしれない。最終戦には、そういう「あと少し」が残る。


もう一つの会場では、ベルギーが大きく目を覚ました。

ニュージーランド対ベルギー。ベルギーはここまでエジプト、イランと続けて引き分け、勝ち点2で最終戦を迎えていた。名前だけを見れば、もっと早く抜け出していても不思議ではないチームである。しかし、グループリーグの最初の2試合では、どこか重たさがあった。

出典:Goal.com

その重さを吹き飛ばしたのが、この5-1である。

ベルギーはレアンドロ・トロサールが2得点。ケヴィン・デ・ブライネもゴールを決め、さらにロメル・ルカク、アレクシス・サーレマーケルスも続いた。ニュージーランドに一度は得点を許したが、ベルギーはそこから崩れず、むしろ攻撃の圧を強めていった。

出典:ゲキサカ

特にデ・ブライネの存在感は大きかった。得点だけでなく、パスと試合の流れの作り方で、ベルギーの攻撃を動かした。これまで眠っていたチームが、最後の最終戦でようやく体を起こしたような試合だった。

ロメル・ルカクの得点にも意味があった。途中出場からゴールを決め、ベルギー代表として、そしてワールドカップという舞台での存在感をまた一つ刻んだ。大勝の中には若い勢いもあったが、経験ある選手の顔も見えた。ベルギーにとっては、ただの勝利ではなく、決勝トーナメントへ向けて空気を変える勝利であった。

ニュージーランドは、最後まで抵抗した。

エリジャ・ジャストのゴールは、1-5というスコアの中では小さく見えるかもしれない。だが、ワールドカップの舞台で奪った1点は、その国にとって簡単に消えるものではない。第1戦でイランと2-2、第2戦でエジプトに1-3、そして最終戦でベルギーに1-5。勝ち点1での敗退は厳しい結果だが、3試合の中に確かにニュージーランドの時間はあった。

ベルギーは、この大勝によって得失点差を大きく伸ばした。

エジプトも勝ち点5だったが、得失点差でベルギーが上に立つ。ベルギーは首位通過。エジプトは2位通過。勝ち点は同じでも、得失点差が一番上と二番目を分けた。グループ最終戦では、1点だけでなく、5点目までが順位を動かすことがある。この日のベルギーにとって、サーレマーケルスの終盤の得点までが意味を持っていた。


エジプトは、次の舞台でオーストラリアと対戦する。

初の決勝トーナメント進出。その相手がオーストラリアに決まったことも、エジプトにとっては新しい物語の入口である。サラーの世代が、ようやくワールドカップのノックアウトステージに立つ。そこには、長く待たれた時間の重みがある。

ベルギーもまた、次へ進む。2022年大会でグループリーグ敗退に終わった記憶がある国である。そのベルギーが、今回は最終戦の大勝で首位をつかんだ。すべてが順調だったわけではない。むしろ、2つの引き分けのあとに、最後の90分で取り戻した首位である。だからこそ、この勝利には勢い以上に、安堵があった。

イランは待つ。

3つの引き分けで勝ち点3。負けていないのに、自分たちで突破を決めることはできなかった。エジプト戦の最後に取り消されたゴールが、記憶に残るだろう。あれが認められていれば、イランの夜はまったく違うものになっていた。だが、ワールドカップでは、そのわずかな線が運命を分ける。

ニュージーランドは去る。だが、最後まで大会の中にいた。1点を取り、走り、ベルギーを相手に立ち向かった。順位表では4位である。それでも、ワールドカップを戦った時間は、その国のサッカーに残る。

グループGは、最後にベルギーが大きく順位表をひっくり返した組であった。

ベルギー、勝ち点5。エジプト、勝ち点5。イラン、勝ち点3。ニュージーランド、勝ち点1。

首位と2位は得失点差で決まり、3位のイランは世界の他のグループを見つめることになった。エジプトは歴史を開き、ベルギーは眠りから覚めるように首位へ上がった。ニュージーランドは大会を去り、イランはまだ完全には終われない夜を迎えた。

目次

各グループ3位チームの決勝トーナメント進出状況

各グループ3位チーム順位表

順位チーム名勝点試合得点得失差Gr.
1スウェーデン ★4370F
2エクアドル ★4320E
3ボスニア・ヘルツェゴビナ ★435-1B
4パラグアイ ★432-2D
5セネガル ★338+2I
6イラン3330G
7クロアチア323-1L
8韓国332-1A
9アルジェリア322-2J
10スコットランド331-3C
11ウルグアイ ✕233-1H
12DRコンゴ121-1K

※ 上位8チームがノックアウトステージ進出
※ ★:ノックアウトステージ進出決定チーム
※ ✕:敗退決定チーム
2026/6/27 14:21 更新

順位の判定基準

3位チーム同士の順位は
①勝ち点
②得失点差
③総得点数
④フェアプレーポイント
⑤最新のFIFAランク
⑥過去のFIFAランクの優先順で決定する。

48か国大会では、各グループ上位2チームに加え、12組の3位チームのうち成績上位8チームが決勝トーナメントへ進む。グループG終了時点で、その輪郭もかなり見えてきた。

この時点で、3位からの決勝トーナメント進出を決めたのは、グループBのボスニア・ヘルツェゴビナ、グループDのパラグアイ、グループEのエクアドル、グループFのスウェーデン、そしてグループIのセネガルである。

ボスニア・ヘルツェゴビナは勝ち点4。パラグアイも勝ち点4。エクアドル、スウェーデンも勝ち点4を積み上げた。さらにセネガルは勝ち点3ながら、イラク戦の5-0によって得失点差をプラス2まで押し上げた。この大勝が、3位チームの争いの中で大きな命綱となった。

それぞれの道は、決して同じではない。ボスニア・ヘルツェゴビナは勝って待つ時間を越え、パラグアイは0-0の重たい引き分けから生き残った。エクアドルはドイツを倒して望みを現実に変え、スウェーデンは日本との引き分けで踏みとどまった。セネガルは最後の5点で、沈みかけていた大会をもう一度浮かび上がらせた。

一方で、グループAの韓国、グループCのスコットランド、グループGのイランは、まだ他グループの結果を待つ立場である。韓国は勝ち点3、スコットランドも勝ち点3、イランも3引き分けで勝ち点3。だが、得失点差には差がある。イランは得失点差0、韓国はマイナス1、スコットランドはマイナス3である。

グループHのウルグアイは勝ち点2で、かなり厳しい位置に追い込まれた。グループJ、K、Lはまだ最終戦を残しており、そこから新たな3位チームが出てくる。その結果次第で、残された椅子の行方が決まっていく。

3位で抜けるというのは、少し不思議な感覚である。

自分たちのグループでは上位2チームに届かなかった。それでも、大会全体の中ではまだ前へ進める。勝ち点4を積んだ国は胸をなで下ろし、勝ち点3の国は得失点差を見つめ、勝ち点2の国は祈るように他会場を待つ。

決勝トーナメントへ進む国と、去る国。その境目は、勝利の数だけでなく、最後の1点、最後の失点、最後の引き分けによって決まっていく。

グループリーグの終わりには、試合を終えたチームの時間が止まり、まだ試合を残すチームの時間だけが進んでいく。

3位チームの争いは、まさにその残酷さを見せている。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次