アリアスの一撃、コロンビアが静かにガーナを退けた

決勝トーナメントの最後の一枠が決まる試合だった。

ここまで、延長戦もあった。PK戦もあった。終盤の逆転も、VARで消えた幻のゴールもあった。決勝トーナメント1回戦は、勝つ国と去る国の表情を、毎試合のように濃く見せてきた。

その締めくくりに置かれたのが、コロンビア対ガーナだった。

結果は、コロンビア 1-0 ガーナ。
コロンビアが勝ち抜き、ベスト16へ進んだ。

スコアだけを見れば、最小得点差の勝利である。派手な大量得点ではない。劇的なPK戦でもない。延長にも入らなかった。だが、決勝トーナメントで1-0で勝つというのは、決して軽いことではない。

むしろ、強いチームらしい勝ち方でもある。

コロンビアは、グループKを首位で突破してきた。ポルトガルと引き分け、ウズベキスタンとコンゴ民主共和国を退けた。派手なだけではなく、試合をきちんと終わらせる力を持っていた。その流れは、このガーナ戦にも続いていた。

試合は早い時間に動いた。

14分、ジョン・アリアスが決める。
コロンビアが1-0と先制した。

出典:FIFA公式

このゴールには、試合前からの計算とは少し違う流れもあった。コロンビアは序盤にジョン・コルドバが負傷し、ルイス・スアレスが早い時間から入ることになった。予定外の交代である。決勝トーナメントでは、こういう出来事だけでも試合の空気が変わる。

だが、そのスアレスが仕事をした。

左から正確なボールを入れ、アリアスが合わせた。
負傷交代で入った選手が、すぐに決勝点につながるプレーをする。サッカーでは、こういう偶然のようで偶然ではない場面がある。準備していた選手だけが、その流れに乗れる。

アリアスのゴールで、コロンビアは試合を優位に進められるようになった。

決勝トーナメントの先制点は重い。
特に、守備の安定したチームが先に点を取ると、相手は難しくなる。

ガーナは追いかける側になった。

グループLを3位で通過してきたチームである。イングランド、クロアチア、パナマと同じ組で、最後は決勝トーナメントへ滑り込んできた。ガーナにとって、この舞台に立つこと自体が簡単ではなかったはずである。大会前からすべてが順調だったわけではないだろうし、ここまで来るために耐えた時間も多かったはずだ。

だからこそ、0-1で追う時間は重かった。

前に出なければならない。
だが、無理に出れば、コロンビアに隙を突かれる。
決勝トーナメントでは、その迷いが足を少しだけ止める。

ガーナには、身体能力も、前へ出る勢いもあった。局面での強さも見せた。だが、最後のところでコロンビアの守備を破れなかった。ゴール前へ迫る場面はあっても、本当に決定的な一撃まで持っていくのは難しかった。

コロンビアは、派手に押し切ったというより、試合を閉じていった。

守備が崩れない。
中盤で粘る。
相手が焦り始めても、簡単には慌てない。

こういう試合運びは、見ている側には地味に映ることもある。だが、決勝トーナメントでは、それが何より大事になる。1点を守ることは、攻撃で3点を取るのとは別の難しさがある。時間が進むほど、1本のクロス、1つのこぼれ球、1つのファウルが怖くなる。

それでも、コロンビアは最後まで失点しなかった。

ルイス・ディアスには、追加点かと思われる場面もあったと報じられている。だが、オフサイドで認められなかった。もし2-0になっていれば、試合の終盤はかなり違ったものになっていただろう。コロンビアにとっては、もう少し早く安心したかったはずである。

だが、1-0のまま進む。

この1点差が、試合に緊張を残し続けた。

ガーナにとっては、まだ終わっていない時間だった。
コロンビアにとっては、絶対に逃してはいけない時間だった。

カンザスシティの暑さもあった。Reutersは30度前後の厳しい暑さの中で行われた試合だったと伝えている。そういう環境では、終盤になるほど足は重くなる。判断も少しずつ鈍る。勝っている側も、負けている側も、同じように消耗していく。

それでも、最後に立っていたのはコロンビアだった。

1-0。
アリアスのゴールが、そのまま勝敗を決めた。

コロンビアはベスト16へ進む。次の相手はスイスである。スイスはアルジェリアを2-0で下し、88年ぶりとも伝えられる決勝トーナメント勝利をつかんで上がってきた。どちらも派手な大勝ではなく、守備の安定と試合運びで勝ち上がったチームである。

コロンビア対スイス。
これは、簡単には崩れない国同士の試合になりそうである。

一方で、ガーナの大会はここで終わった。

0-1の敗退である。
大きく崩されたわけではない。惨敗でもない。たった1点で、決勝トーナメントから去ることになった。

こういう敗退は、胸に残る。

あの場面で止められていれば。
あの攻撃がもう少しつながっていれば。
あの1本がゴールへ向かっていれば。

選手たちの中には、そういう思いが残るはずである。

だが、ガーナを責める気にはなれない。グループリーグを抜け、決勝トーナメントでコロンビアと戦った。失点は早かったが、試合を壊さず、最後まで追いかけた。勝てなかったことは事実である。しかし、ここまで来た道のりまで消えるわけではない。

決勝トーナメントは、勝者だけを先へ進ませる。
その仕組みは残酷である。

コロンビアは次へ進む。
ガーナは去る。

同じピッチで90分を戦い、最後に残るのは1-0という数字だけに見える。だが、その奥には、アリアスの一撃、スアレスの準備、ガーナの追いかけた時間、そして最後まで破れなかったコロンビアの守備がある。

派手ではなかった。
しかし、確かな勝利だった。

コロンビアは静かにガーナを退け、スイスの待つ次の扉へ進んだ。
ガーナは、その扉の前で大会を終えた。

この試合の余韻は、歓声の大きさよりも、1点差のまま終わった静かな重みに残っている。

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