日記/エッセイ– tag –
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鑑賞ノート
派手な解決を拒む物語 ― 横溝正史「裏切る時計」の味わい
横溝正史の短編「裏切る時計」を読んだとき、率直に言って拍子抜けした。ミステリーを読み慣れた者にとって、結末はあまりに地味で、ほとんど救いのない形で終わってしまう。だが、そのあっけなさが、かえって新鮮に感じられたのである。 物語は、妻を殺し... -
鑑賞ノート
欠けた三人が揃うとき――『鍵のかかった部屋』のチーム設計
感情で動かない探偵 名探偵には、たいてい動機がある。正義感、使命感、あるいは個人的な執着。エルキュール・ポワロは秩序への信念から動き、コロンボは被害者への共感を隠しながら追い詰める。しかし榎本径(大野智)は、そのどちらでもない。 彼は大手... -
鑑賞ノート
映画を映画として見る、ということ――『ミステリー・アリーナ』を見て
お盆の忙しさがようやく落ち着いた夜、Amazonプライムを開いたら配信されていた。公開が2026年5月だから、もう3ヶ月も経っていない。思ったより早い。予告映像を見たときから気になっていた作品だったので、そのまま再生ボタンを押した。 あらすじをざっく... -
鑑賞ノート
僕にとっての007はロジャー・ムーア—『私を愛したスパイ』少年時代の記憶
初めての007は、ロードショー枠で 僕が初めて007を見たのが、この『私を愛したスパイ』だった。 あの頃は月曜日と水曜日と金曜日には必ず2時間のロードショー枠があって、そこで放送される007と言えばこの作品だった。 出典:はてなブログ だから僕の中で... -
鑑賞ノート
「M」(1931年)が暴く鏡像〜『怪物』の人間性と『正常』の狂気
1931年、ワイマール共和国末期の不安定なドイツ社会に投じられたフリッツ・ラング監督の『M』は、単なるサイコスリラーの始祖に留まらず、現代に至るまで鋭い問いを投げかけ続ける傑作である。 かつて映画に興味を持ち始めた頃、「世界で最も短い題名の映... -
鑑賞ノート
無駄を33分間楽しむ贅沢
「この簡単な事件、俺が33分もたせてやる!」 2008年の深夜、フジテレビの土曜ドラマ枠で放送された『33分探偵』。堂本剛演じる鞍馬六郎のこの宣言を初めて聞いたとき、私は笑いながらも妙な違和感を覚えた。 出典:FOD – フジテレビ 第1話の舞台は結婚式場... -
鑑賞ノート
怖いのに見惚れる――『殺し屋の営業術』、鳥井という男について
野宮有『殺し屋の営業術』は、普通に面白かった。 出典:ほんのひきだし まずそこを、変にひねらず書いておきたい。 設定の勝利、と言ってしまえばそれまでだが、営業成績トップの男・鳥井が、殺人現場に居合わせたことをきっかけに、殺人請負会社の営業を... -
お店と日々
非日常はすぐそばにある
行きたいな〜、GWはどっかに・・・海外旅行に行きたいな〜 こういう映画見ると、そう思っちゃう。 まあ、観光地で飲食業をしているので、絶対無理だけど・・・ 出典:ameblo.jp 1959年の映画『地底探検』は、ジュール・ヴェルヌの古典をハリウッドが映像化... -
鑑賞ノート
アシュラムとカーラが気になった夜——「ロードス島戦記」OVAを見返して
見ていた頃、自分はギリギリ10代だった。 1990年から91年にかけて発売されたOVA「ロードス島戦記」を、当時どんな気持ちで見ていたのかを正確には思い出せない。ただ「まあまあ楽しく見ていた」という感触だけが残っている。重厚なファンタジー世界、戦い... -
鑑賞ノート
村が燃えるまで——『屍鬼』における怪物と正義の所在
GWに帰省していた姉が「面白い」と言うので、見始めたのが『屍鬼』(2010年)だった。 朝ごはんを食べながら、一話ずつ。気軽な気持ちで。山に囲まれた古びた農村に吸血鬼が来る話、くらいの認識で画面をつけていた。前半はそれでも成立していた。怖いこと...