鑑賞ノート– category –
映画・ドラマ・アニメ・本など、観たり読んだりした作品について綴るカテゴリーです。気軽な感想から、登場人物や物語、演出、時代背景について掘り下げた考察まで、作品をきっかけに書いた文章をまとめています。
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鑑賞ノート
「M」(1931年)が暴く鏡像〜『怪物』の人間性と『正常』の狂気
1931年、ワイマール共和国末期の不安定なドイツ社会に投じられたフリッツ・ラング監督の『M』は、単なるサイコスリラーの始祖に留まらず、現代に至るまで鋭い問いを投げかけ続ける傑作である。 かつて映画に興味を持ち始めた頃、「世界で最も短い題名の映... -
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映画『死刑にいたる病』考察・ネタバレ解説|爪・灯里・原作との違い——すべては榛村の手のひらの上だった
「史上最悪の連続殺人鬼からの依頼は、たった1件の冤罪証明だった」——このキャッチコピーが、本作のすべてを語ってもいるし、何ひとつ語っていないとも言える。 2022年公開の映画『死刑にいたる病』は、『凶悪』『孤狼の血』の白石和彌監督が、櫛木理宇の... -
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映画『SAND LAND』考察|砂漠に水が流れるまで、悪魔の王子と老保安官が背負ったもの
2026年の春先、一時的に全国的な水不足のニュースが流れていた。 そんなとき、鞆の浦の海峡を渡る風を感じながら、幼少期から水に満ちたこの港町に住む者として、「水のない世界」を描いた映画のことを考えていた。 鳥山明が2000年に世に送り出し、20年以... -
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倫理と愛の境界線|映画『夏目アラタの結婚』が描いた結婚の意味
『夏目アラタの結婚』は、原作となる乃木坂太郎の漫画を基にした映画であり、強烈な設定が特徴である。 映画はサスペンス要素を含みながらも、最終的には「救えない相手を愛してしまう物語」としての側面が強調され、原作とは異なるテーマへとシフトしてい... -
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炎跡に生まれた縁——永井荷風「にぎり飯」考察
焼け跡から始まる物語 「にぎり飯」は、昭和二十年三月九日夜半——東京大空襲の翌朝から始まる短篇小説である。荷風がこの作品を書いたのは、自らも戦火のなかを生き延びた経験を持つ晩年期のことである。 主人公は深川古石場町で荒物屋を営む佐藤という中... -
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誰にも理解されなくても、未来のために泥をかぶる。現代人に刺さる『晩秋』の教え
山本周五郎の短編小説「晩秋」は、武家社会を舞台にしながらも、人間の心の奥底にある「孤独」や「自己犠牲」、そして「許し」を深く描き出した作品です。 出典:日本の古本屋 物語は、父を理不尽に死に追いやられた娘・都留(つる)が、仇(かたき)であ... -
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無駄を33分間楽しむ贅沢
「この簡単な事件、俺が33分もたせてやる!」 2008年の深夜、フジテレビの土曜ドラマ枠で放送された『33分探偵』。堂本剛演じる鞍馬六郎のこの宣言を初めて聞いたとき、私は笑いながらも妙な違和感を覚えた。 出典:FOD – フジテレビ 第1話の舞台は結婚式場... -
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怖いのに見惚れる――『殺し屋の営業術』、鳥井という男について
野宮有『殺し屋の営業術』は、普通に面白かった。 出典:ほんのひきだし まずそこを、変にひねらず書いておきたい。 設定の勝利、と言ってしまえばそれまでだが、営業成績トップの男・鳥井が、殺人現場に居合わせたことをきっかけに、殺人請負会社の営業を... -
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アシュラムとカーラが気になった夜——「ロードス島戦記」OVAを見返して
見ていた頃、自分はギリギリ10代だった。 1990年から91年にかけて発売されたOVA「ロードス島戦記」を、当時どんな気持ちで見ていたのかを正確には思い出せない。ただ「まあまあ楽しく見ていた」という感触だけが残っている。重厚なファンタジー世界、戦い... -
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村が燃えるまで——『屍鬼』における怪物と正義の所在
GWに帰省していた姉が「面白い」と言うので、見始めたのが『屍鬼』(2010年)だった。 朝ごはんを食べながら、一話ずつ。気軽な気持ちで。山に囲まれた古びた農村に吸血鬼が来る話、くらいの認識で画面をつけていた。前半はそれでも成立していた。怖いこと...