ブラジルがハイチを3-0で下した。
スコアだけを見れば、ブラジルらしい勝利である。だが、この試合には、ただの快勝とは少し違う空気もあった。初戦でモロッコと1-1に終わったブラジルにとって、この第2戦は勝ち点3が必要な試合だった。勝てば勝ち点4。グループ突破へ近づく。勝てなければ、最終戦に重苦しいものを残す。王国と呼ばれる国であっても、第2戦の勝ち点は簡単には手に入らない。
相手はハイチである。
初戦でスコットランドに0-1で敗れていたハイチにとっても、この試合は後がない一戦だった。ブラジルを相手にする難しさはある。それでも、ここで何かをつかまなければ、大会の道は一気に狭くなる。そういう切実さを持ったチームが、強豪に向かっていく試合でもあった。
ただ、ブラジルは前半のうちに試合を決めた。
まず輝いたのは、ヴィニシウス・ジュニオールだった。左サイドから前へ出るたびに、試合の温度が上がる。ボールを持つだけで、相手の守備が少し後ろへ下がる。ブラジルの攻撃がまだ完全に滑らかではなくても、彼の一歩が局面を壊していく。
出典:VOI
その流れの中で、マテウス・クーニャが決めた。
クーニャはこの日、先発起用に応えるように2得点を挙げた。ブラジルの前線には華やかな名前が並ぶが、ワールドカップでは、その中で実際にゴールを決める選手が必要になる。クーニャの2点は、ブラジルにとって試合を楽にするだけでなく、チーム内の競争にもひとつの答えを出すようなものだった。
出典:FOOTBALL ZONE
そして前半終了間際、ヴィニシウス自身が3点目を決める。
3-0。ここで試合の大勢は決まった。前半のうちに3点を取るというのは、ブラジルにとって理想的な展開である。初戦の引き分けで少し湿っていた空気を、前半だけでかなり乾かしたように見えた。
それでも、ブラジルの勝利が完全に晴れやかだったかといえば、そうとも言い切れない。
前半の得点力は見事だった。ヴィニシウスは3点すべてに絡み、クーニャはきっちり仕留めた。しかし、試合全体を通して見れば、ブラジルにはまだ余白がある。攻撃が常に流れるようにつながったわけではない。後半は追加点を奪えず、試合を静かに進めた。勝ったからこそ見えにくくなるが、王国には王国なりの課題が残る。
ラフィーニャの負傷交代も気がかりだった。
大会はまだ続く。ブラジルが上を目指すなら、前線の厚みは重要になる。勝ち点3を得た夜に、ひとつ不安も残った。ワールドカップの試合は、結果だけでなく、次の試合へ持ち越すものも一緒に刻んでいく。
一方のハイチは、これで敗退が決まった。
2試合を終えて勝ち点はない。スコットランド戦では粘りながらも届かず、このブラジル戦では前半に突き放された。結果だけを見れば厳しい。世界の舞台でブラジルと向き合い、3点差で敗れた。だが、ハイチの大会をただ「敗退」とだけ書くのは、少し冷たすぎる気がする。
ハイチは、1974年以来となるワールドカップの舞台に戻ってきた国である。
その事実の重さがある。勝ち点を取れなかったとしても、この大会に立ったこと自体が、国のサッカーにとって大きな記憶になる。ブラジルに押し込まれながらも、ゴール前で身体を張る場面はあった。リカルド・アデのヘディングのように、ブラジルのゴールを脅かす場面もあった。届かなかったが、何もなかったわけではない。
ただ、ブラジルとの差は確かにあった。
とくに前半、ブラジルは少ない隙を逃さなかった。ハイチが耐えようとする時間に、ヴィニシウスが揺さぶり、クーニャが決める。強豪が本気で勝ち点3を取りに来たときの圧力は、やはり大きかった。
この試合でブラジルは勝ち点4に伸ばした。
初戦の引き分けを、この勝利によって意味あるものに変えた。グループCは、まだ最終戦を残している。ブラジルはスコットランド戦へ向かい、モロッコとの争いも見えてくる。得失点差も含め、この3-0は小さくない。第2戦でしっかり勝ったことが、次の試合の表情を変える。
ハイチは最終戦へ進む。
敗退は決まった。それでも、モロッコ戦はただの消化試合ではない。ワールドカップで一つのゴール、一つの勝ち点、一つの記憶を残せるか。敗退が決まったあとに、どんな顔でピッチに立つか。そこにも、その国のサッカーの姿が出る。
ブラジル 3-0 ハイチ。
数字だけなら、順当な勝利である。だが、その中には、勝ち点3を必要としていたブラジルの現実と、世界の舞台に戻ってきたハイチの悔しさがあった。
ブラジルは、ようやく大会の中で前へ進んだ。
黄色い才能は、まだ完全に燃え上がったわけではない。それでも、前半の45分で確かに火をつけた。勝ち点4という灯を手に、ブラジルは次の試合へ向かう。



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