パク・ウンビンに開眼した―『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』と韓流ロマンスへの苦手意識の行方

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韓流ロマンスへの、ある種の苦手意識

「冬のソナタ」や「愛の不時着」がそうであったように、韓国ドラマといえば、いかにも恋愛ドラマ的なものが長らく人気の中心にあった。特にいわゆる”おばさま方”に絶大な支持を得てきたことは、世間的にもよく知られている。

この呼び方自体はいささか失礼な気もするし、私の年齢(50代のおっさん)からすれば、当のおばさま方より下の世代に属してもいる。それでも一般的な印象としては、そう括られてしまう文化圏であることは否めない。

私自身は、恋愛ドラマの類が得意ではない。

映画であれば話は別だ。2時間という枠の中で完結するのなら、恋愛ものでも十分に見られる。

しかし、それが10話以上にわたって引き延ばされるとなると、途端に見ていられなくなる。誤解が誤解を呼び、すれ違いがすれ違いを重ね、感情の起伏だけで尺を稼ぐような構成に、どうしても耐性がない。

『ウ・ヨンウ弁護士は天才肌』とはどんな作品か

出典:シネマトゥデイ

本作の主人公ウ・ヨンウは、自閉スペクトラム症を抱えながら、IQ164という並外れた記憶力と論理的思考力を武器にソウル大学法学部を首席で卒業した新人弁護士である。

クジラと海苔巻きをこよなく愛し、面接では苦戦を強いられるものの、韓国屈指の法律事務所「ハンバダ」への入社を果たす。

物語は基本的に一話完結の法廷劇として構成されており、高齢夫婦の傷害事件、自閉症の子を持つ親の親権をめぐる争い、企業間の特許訴訟、道路建設に反対する村人たちの集団訴訟など、社会的なテーマを孕んだ事件が毎話描かれる。

ヨンウは、他の誰も気づかない細部への着眼と独自の論理によって次々と事件を解決していく一方で、職場では自身の特性ゆえの誤解や偏見にもさらされ続ける。

出典:シネマカフェ cinemacafe.net

そんな彼女を職場で支えるのが、同僚のイ・ジュノである。彼はヨンウの最大の理解者として彼女の孤立感を和らげる存在であり、仕事を共にするうちに惹かれ合い、やがて交際へと発展していく。この関係性がどのように描かれているかこそが、本エッセイで取り上げたいテーマである。

法廷ものだと思って見始めたら

今回、「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」を見始めた動機は、法廷ドラマとしての興味だった。ところが実際に見進めると、そこには思いのほかしっかりと恋愛要素が組み込まれていた。正直なところ、身構えた部分はある。長丁場の恋愛描写が始まるのではないかという、あの苦手意識がよぎったのも事実だ。

にもかかわらず、最後まで見続けることができた。その理由を考えると、本作が法廷、コメディ、恋愛という三つの要素を、絶妙にばらけさせながら配置していた点に行き着く。ひとつの色に染め上げるのではなく、法廷劇としての緊張とコメディの緩和、そこに恋愛の軽やかさが交互に顔を出す。この配分があったからこそ、恋愛描写が過剰な重みを持たずに済んでいたのだと思う。

ウ・ヨンウの率直さが、恋愛描写の文法を変えている

出典:Marie Claire

もう少し踏み込んで考えると、この作品の恋愛パートが「重く」ならなかった理由は、単なる尺配分の妙だけではないように思う。

ウ・ヨンウというキャラクター自身が持つコミュニケーションの率直さが、従来の韓流ロマンスにありがちな装置――長引く誤解、強引な迫り方、三角関係、涙の別れ――を、そもそも成立させにくくしているのではないか。

彼女は好意も戸惑いも、驚くほどまっすぐに言葉にする。回りくどい駆け引きや、感情を隠すことによって生まれるドラマ的緊張が、そこには存在しない。

イ・ジュノとの関係も、誤解によって引き延ばされるのではなく、その都度言葉を交わすことで進んでいく。筆者が長編の恋愛ドラマに感じてきた疲労感は、実はこうした「引き延ばしの文法」そのものに起因していたのだと、この作品を見て逆説的に気づかされた。

恋愛パートが軽やかに感じられたのは、コメディや法廷劇との配分だけでなく、恋愛描写そのものの作り方が違っていたからだ。

パク・ウンビンという発見

そして最終的に、筆者を最後まで画面に引き留めたのは、主演のパク・ウンビンの魅力に他ならない。役の造形の妙もさることながら、彼女自身の愛らしさに、率直に言ってやられてしまった。今後、彼女が出演する映画やドラマは、ジャンルを問わず追いかけていくことになるだろう。

一本のドラマへの苦手意識を覆すのは、多くの場合、構成の工夫でもテーマの深さでもなく、こうした演者個人の力であったりする。「ウ・ヨンウ弁護士は天才肌」は、筆者にとってそのことを再確認させてくれた作品だった。

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