サウジアラビア、ウルグアイを追い詰める|勝ち切れなかった緑の鷹と、救われた南米の古豪

サウジアラビアが、また何かを起こしそうだった。

ワールドカップでサウジアラビアと聞くと、やはり2022年大会のアルゼンチン戦を思い出す。あの時、優勝候補だったアルゼンチンを相手に、サウジアラビアは2-1で逆転勝利した。大会全体を見ても、強く記憶に残る番狂わせだった。

だから今回のウルグアイ戦も、どこかで少し期待してしまうところがあった。

ワールドカップ2026グループH、サウジアラビア対ウルグアイ。結果は1-1の引き分けである。ウルグアイが押し込み、サウジアラビアが耐える。終わってみれば、どちらにも悔しさの残る勝ち点1だった。

相手はウルグアイである。

ワールドカップ初代王者であり、南米の古豪であり、いつの時代も粘り強く、しぶとい国である。派手さだけではなく、勝負の勘を持っている。監督はマルセロ・ビエルサ。前へ出る圧力、ボールを奪い返す強度、攻撃へ向かう姿勢。ウルグアイという国の伝統に、ビエルサらしい熱が加わっている。

普通に考えれば、ウルグアイが主導権を握る試合である。

実際、前半からウルグアイはボールを持った。サウジアラビア陣内に入り、何度もゴールへ近づこうとする。だが、サウジアラビアは簡単には崩れなかった。守備の距離感を保ち、最後のところで足を出し、ゴール前で体を張る。

押されているようで、どこか落ち着いていた。

出典:サッカーダイジェストWeb

そして41分、試合が動く。

サウジアラビアがセットプレーから先制した。フェルナンド・ムスレラが処理し切れなかったボールに、アブドゥレラー・アルアムリが詰める。ゴール前の混戦の中で、しっかり押し込んだ。ウルグアイが押していた流れの中で、サウジアラビアが先にスコアを動かしたのである。

出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN

この瞬間、2022年の記憶が少しよみがえった。

またサウジアラビアがやるのか。強豪を相手に、先に一発を入れ、そのまま逃げ切るのか。そう思わせるだけの空気があった。サウジアラビアの選手たちは、ただ守っているだけではなかった。自分たちにもチャンスはあると信じているように見えた。

前半を1-0で終える。

ウルグアイにとっては、嫌な展開だった。ボールを持っているのに得点できない。相手に数少ない好機を決められる。強豪国が初戦で最も避けたい流れである。スペインがカーボベルデと引き分けていたこともあり、グループH全体に少し不穏な空気が漂っていた。

後半、ウルグアイは明らかに圧力を強めた。

サウジアラビア陣内で試合を進め、次々とボールを入れてくる。フェデリコ・バルベルデがより中央で関わるようになり、ウルグアイの攻撃は前半よりも鋭さを増した。サウジアラビアは耐える時間が長くなる。自分たちのゴール前に、南米の青い波が押し寄せるような時間帯だった。

そこで目立ったのが、サウジアラビアの守護神モハメド・アルオワイスである。

何度もシュートを止めた。近い距離のボールにも反応し、終盤にはバルベルデの強烈な一撃も防いだ。ゴール前で踏みとどまる姿には、勝ち点を持ち帰るための執念があった。サウジアラビアが最後まで崩れなかったのは、彼のセーブがあったからである。

だが、ウルグアイも諦めない。

80分、ついに同点ゴールが生まれる。左からのボールに対し、ヘディングがゴール前へ入り、アルオワイスが弾いたところをマキシ・アラウホが押し込んだ。サウジアラビアにとっては痛い失点だった。ここまで何度も救ってきた守護神の処理から、最後は同点弾につながってしまった。

出典:FIFA公式

サッカーは残酷である。

好セーブを重ねていた選手が、たった一つの場面で悔しさを背負うことがある。だが、この日のアルオワイスを責める気にはなれない。むしろ、彼がいなければサウジアラビアはもっと早く追いつかれていたかもしれない。最後までウルグアイを苦しめたのは、間違いなく彼の存在だった。

1-1になってからも、ウルグアイは攻めた。

勝ち点1では足りない。そんな気配があった。ビエルサのチームらしく、最後まで前へ出る。サウジアラビアはもう足が重そうだった。守る時間が長く、体力も削られていた。それでも、最後の笛まで耐えた。逆転は許さなかった。

試合終了。

サウジアラビアにとっては、勝てたかもしれない試合である。ウルグアイ相手に先制し、80分までリードした。あと少しで、また世界を驚かせるところだった。だからこそ、引き分けでも悔しさは残る。

だが同時に、大きな勝ち点1でもある。

相手はウルグアイである。押し込まれる時間が長くても、最後まで壊れなかった。2022年のアルゼンチン戦ほど派手な勝利ではない。けれど、サウジアラビアがワールドカップの舞台で簡単に倒れるチームではないことを、また示した試合だった。

ウルグアイにとっては、救われた引き分けである。

負ければ、初戦から大きくつまずくところだった。マキシ・アラウホの同点弾によって、最低限の勝ち点1を持ち帰った。だが、ビエルサにとっては満足できる内容ではないだろう。勝たなければならない試合だった。チャンスを作りながら、最後の精度を欠いた。強豪らしい怖さは見せたが、勝ち切る力までは見せきれなかった。

グループHは、面白いことになった。

スペインがカーボベルデと0-0で引き分け、サウジアラビアとウルグアイも1-1。初戦を終えた時点で、4チームすべてが勝ち点1で並んだことになる。大会前に予想していた序列が、いきなり少し揺らいだ。

スペインとウルグアイが抜けるのだろう。

そんな見方は、初戦だけで少し簡単ではなくなった。カーボベルデはスペインを止め、サウジアラビアはウルグアイを追い詰めた。グループHは、思っていた以上に読みにくい組になった。

サウジアラビアの緑のユニフォームには、またしても不思議な熱があった。

派手に勝ったわけではない。けれど、強豪を相手に一歩も引かず、先制し、最後まで粘った。アルオワイスのセーブ、アルアムリのゴール、疲れながらも守り続けた選手たちの姿。それらが、試合後も静かに残る。

ウルグアイは追いついた。

サウジアラビアは守り切れなかった。

同じ1-1でも、両国が持ち帰る感情は違う。ウルグアイは命拾いをした。サウジアラビアは惜しくも歴史的勝利を逃した。けれど、この勝ち点1があとで効いてくる可能性は、どちらにもある。

ワールドカップの初戦は、勝つことだけがすべてではない。

負けないことにも意味がある。だが、勝てそうだった引き分けには、独特の苦さがある。サウジアラビア 1-1 ウルグアイ。この試合には、その苦さと、グループHがこれから荒れていきそうな予感が、はっきり残っていた。

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