フランスがイラクを3-0で下した。
スコアだけを見れば、強豪国が力の差を見せた試合である。だが、この一戦には少し特別な空気があった。試合は雷雨の影響で長く中断した。ハーフタイムが、通常の休憩時間ではなく、選手も観客も待たされる時間になった。サッカーの流れとは別のところで、自然が試合に割って入ってきたのである。
それでも、フランスは崩れなかった。
グループ第2戦。フランスは初戦でセネガルに3-1と勝っていた。ここで勝てば、決勝トーナメント進出が決まる。イラクは初戦でノルウェーに1-4と敗れており、後がない立場だった。両チームの置かれた状況は対照的だったが、試合に入れば、どちらにもそれぞれの切実さがあった。
先に試合を動かしたのは、やはりフランスだった。
出典:FIFA公式
14分、キリアン・エムバペが左足で決める。1-0。
エムバペのゴールには、いつも少し不思議な速さがある。大きく構えたように見えない。だが、次の瞬間には相手の守備を置き去りにし、シュートがゴールへ向かっている。この試合でも、フランスが試合の主導権を握るために必要な一点を、あっさりと決めてしまった。
イラクにとっては、苦しい入りだった。
フランスを相手に先制されると、試合は一気に難しくなる。前へ出なければならない。しかし、前へ出れば、エムバペやデンベレのスピードを背後に受けることになる。守りたいが、守っているだけでは追いつけない。そういう難しさを抱えたまま、イラクは時間を過ごすことになった。
それでも、イラクはただ崩れたわけではない。
前半には、何とか前へ運ぼうとする場面もあった。球際で粘り、フランスの攻撃を最後のところで止める時間もあった。実力差はある。だが、ワールドカップに戻ってきた国として、簡単に飲み込まれたくないという意地は見えた。
その前半の終わりに、天候が試合を止めた。
雷雨による長い中断である。こういう時間は、試合の流れを一度切ってしまう。リードしていたチームにとっても、追いかけるチームにとっても、気持ちの置き方が難しい。フランスは勢いを失う可能性があり、イラクには立て直す機会にもなり得た。
だが、再開後も試合の中心にいたのはフランスだった。
後半、再びエムバペが決める。2-0。
これで試合の重心は大きくフランスへ傾いた。嵐を挟んでも、エムバペの足は止まらない。中断で流れが変わるのではなく、むしろフランスの強さがよりはっきり見える展開になった。ワールドカップのような大会では、こういう不規則な試合をどう乗り切るかも重要である。フランスはそこに隙を見せなかった。
エムバペはこの試合で2得点を挙げた。
すでに世界の中心にいる選手でありながら、ワールドカップの舞台でさらに記録を積み上げていく。大きな大会になるほど、彼の存在感は増す。フランスが優勝候補として見られる理由のかなりの部分は、この選手がいることにある。
66分、ウスマン・デンベレが3点目を決める。
3-0。
このゴールで試合はほぼ決まった。エムバペだけではない。デンベレもいる。オリセもいる。バルコラもいる。フランスの攻撃には、ひとつの道を塞いでも別の道が開いてくるような怖さがある。個の力が強いだけでなく、それぞれが違う形で相手を揺さぶる。
出典:サッカーダイジェストWeb
イラクにとっては、厳しい敗戦だった。
初戦に続く3点差以上の敗戦である。2試合を終えて勝ち点はない。相手がノルウェー、フランスと難敵続きだったとはいえ、世界の舞台の厳しさを改めて突きつけられた形になった。
それでも、イラクの姿をただ敗戦の数字で片づけるのは惜しい。
ワールドカップに戻ってきたこと自体に意味がある。大きな相手に向かい、うまくいかない時間を重ねながら、それでも最後まで試合を終える。サッカーの国際大会では、結果だけでなく、その国が再び世界の舞台に立ったという事実も記憶になる。イラクには、まだ最終戦が残っている。
フランスは2連勝となった。
勝ち点6。決勝トーナメント進出。初戦のセネガル戦に続き、このイラク戦でも3得点を挙げた。得点力、選手層、試合を進める落ち着き。どれを取っても、フランスは大会の中でかなり安定した歩みを見せている。
出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN
もちろん、まだ頂点へ向かう道は長い。
グループステージの2勝は、あくまで入口である。決勝トーナメントに入れば、相手も空気も変わる。だが、こういう試合をきちんと勝ち切ることが、強い国には必要である。雷雨で中断しても、流れが一度切れても、戻ってきてまた点を取る。そこにフランスの余裕があった。
この試合を思い返すと、まず浮かぶのは雨で止まった時間である。
そのあとに、エムバペの2つのゴールが浮かぶ。試合が止まっても、選手の集中が切れなかったこと。外の嵐とは別に、フランスの青い攻撃は淡々と続いていたこと。その対比が印象に残る。
フランス 3-0 イラク。
嵐を越えた先に、フランスはきっちり勝ち点3を置いた。
青い王者候補は、慌てず、揺れず、決勝トーナメントへの扉を開いた。




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