2026年– date –
-
お店と日々
『セロ弾きのゴーシュ』(宮沢賢治)——関係性が人を変える仕事論
宮沢賢治のセロ弾きのゴーシュを読んでいて、どうしても自分のこれまでの仕事の時間が重なって見えてくる。 ゴーシュは楽団のセロ弾きである。しかし、彼はうまく弾けない。指揮者には叱られ、仲間からも遅れている。ひとりで練習しても、なかなか上達しな... -
鑑賞ノート
太宰治『嘘』を解釈する男の限界。この考察すら「男の錯覚」かもしれない
太宰治が昭和21年(1946年)に発表した短編小説『嘘』。戦後の津軽を舞台にした本作は、一見すると「女の嘘の底知れぬ恐ろしさ」を男性目線から語ったホラーめいたエピソードに思えるかもしれない。 しかし、最後まで読み通すと、その印象はガラリと変わる... -
鑑賞ノート
芥川龍之介『魔術』:欲望と芸術をめぐる深層分析
I. 作品の基本情報 著者、初版発行年、国、ジャンル 芥川龍之介の短編小説『魔術』は、1920年(大正9年)1月に、鈴木三重吉が立ち上げた児童文芸雑誌『赤い鳥』で発表されました 。作者は日本を代表する作家、芥川龍之介(1892-1927)で、この作品は彼の作... -
鑑賞ノート
WOWOW『闇の伴走者』第1シーズン徹底解説|漫画の画稿に隠された35年前の連続失踪事件の真実
漫画の画稿に隠された暗号、35年前の連続失踪事件、そして現代の拉致犯罪が交差する。WOWOWの「連続ドラマW」枠で2015年に放送された『闇の伴走者』は、漫画編集者という異色の探偵役を据えた本格ミステリーである。全5話構成で、回を追うごとに深まる伏線... -
お店と日々
便器のコードから古城へ — ドラキュラと映画好き店主の思考
※この記事には「トイレ」「排泄」など日常の身体に関する表現が含まれています。気になる方はご注意のうえお読みください。 トイレ掃除をしていたら、いつもは気にしない便器のコード(電源線)にホコリがたくさん付いているのを見つけた。 普段は見ない場所... -
鑑賞ノート
芥川龍之介『一塊の土』の徹底解説:大正期農村のリアリズムと人間のエゴイズム
I. はじめに:都会の作家が描いた、リアルな農村の人間ドラマ 芥川龍之介といえば、『羅生門』や『蜘蛛の糸』のように、知的で少し難しい作品を書く都会的な作家、というイメージが強いかもしれません。そんな彼が1924年(大正13年)に発表した『一塊の土... -
鑑賞ノート
江戸川乱歩「一枚の切符」徹底解説:ネタバレあらすじと大正ミステリの深層
日本探偵小説の祖、江戸川乱歩。その輝かしいデビューは、1923年(大正12年)4月に雑誌『新青年』に掲載された「二銭銅貨」によって飾られた 。緻密な暗号解読を核とするこの本格探偵小説は、当時の読書界に衝撃を与え、乱歩の名を一躍高らしめた。 しかし... -
お店と日々
爆上がりの朝と、変わらない店の灯り
朝起きて外に出ると、車の屋根とボンネットにうっすらと雪が積もっていた。積もった、というほど大げさではないが、「ああ、ちゃんと冬だな」と思わせるには十分な白さだった。空気もどこか澄んでいて、寒いのに少し気持ちが引き締まる朝である。 9時過ぎ... -
鑑賞ノート
『イタイケに恋して』感想|軽さの先に残った、ED曲の余韻
なぜこのドラマを録画したのか覚えてないが、とりあえずお客様との会話の中で、トレンドを知らないといけないと思い、放送されているドラマを片っ端から録画していた。 しかし、当然見る暇などなく、やっと見れても3〜4年前の作品を見ていくのが精一杯。 ... -
鑑賞ノート
アイスランドという選択――『地底探検』における「辺境」の地政学的・神話的意味
はじめに――なぜ「アイスランド」なのか 1959年の映画『地底探検』(Journey to the Center of the Earth)は、ジュール・ヴェルヌの古典的冒険小説を映像化した作品である。 地質学者リンデンブロック教授が、16世紀の暗号文を手がかりに地球の中心を目指す...