2026年3月– date –
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鑑賞ノート
恐怖を証拠に変えた男――『死の方程式』が示す、コロンボの心理戦という真実
コロンボには、物証がなかった。 爆弾は爆発で消え、葉巻の箱も燃え尽きた。残ったのは、犯人への疑念と、一瞬の視線だけだ。 それで十分だった。 『刑事コロンボ』第8話「死の方程式」(原題:Short Fuse、1972年1月放送)は、証拠ではなく人間の心理を武... -
鑑賞ノート
『D坂の殺人事件』考察|明智小五郎の登場と乱歩が描いた人間心理
はじめに:古い探偵小説を読む面白さ 江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」を読むと、まず印象に残るのは、事件そのものの派手さよりも、どこか湿ったような空気です。 舞台は大正時代の東京。古本屋、狭い路地、日本家屋、そこに暮らす人々の視線や気配。今の感... -
鑑賞ノート
友人を殺した男の慈悲――『光るめだま』が問う、論理と義務と人間性
スポックは正しかった。そしてカークも正しかった。 同じ出来事に対して、どちらも正しいということがある。それがこのエピソードをスタートレック史上、最も後味の重い一編にしている理由だと思う。 『スター・トレック 宇宙大作戦』第3話『光るめだま』... -
鑑賞ノート
力だけを持った子供――『セイサス星から来た少年』が問う、制御なき権力と帰る場所のない孤独
「ここにいたいんだ」。 チャーリー・エヴァンスが連れ去られる直前に叫んだこの言葉が、このエピソードのすべてを要約している。彼は最後まで、誰かのそばにいたかっただけだった。しかしその願いは、誰も傷つけずには叶えられないほど、危険な力と結びつ... -
お店と日々
正しいことを言う前に、少し立ち止まる夜
先日、同級生から店の周年祝いのメールをもらった。(3月11日で18周年!🎉) ただ、その文面が少しおかしかった。祝いの言葉ではあるのだが、どこか落ち着かず、普段の調子とも違っていた。気になって、こちらから電話をしてみた。 すると、受話器の向こう... -
鑑賞ノート
幻想の罠――『惑星M113の吸血獣』が問う、欲望と記憶の危うさ
誰もが「見たいもの」を見ている。 惑星M-113に降り立ったマッコイ医師が旧友ナンシーと再会したとき、彼の目に映ったのは「少しも歳をとっていない」若々しい女性だった。 一方、カーク船長は年相応の女性を見た。若いクルーのダーネルは、まったく別の見... -
鑑賞ノート
『十三人の刺客』あらすじと結末|武士道を解体する1963年版の凄み
作品の基本情報 『十三人の刺客』は、1963年に公開された工藤栄一監督の時代劇映画である。 江戸時代を舞台に、暴君として恐れられる松平斉韶を討つため、十三人の刺客が命がけの作戦に挑む。後半の長い集団戦がよく知られているが、そこに至るまでの緊張... -
鑑賞ノート
『クヒオ大佐』あらすじと結末|嘘を生きた男と、信じたかった女たち
1. 作品の基本情報 本章では、映画『クヒオ大佐』の分析に入る前提として、その製作背景、主要スタッフ・キャスト、批評家からの評価といった基礎情報を整理する。これらの情報は、作品がどのような文脈で生まれ、どのように受け止められたかを理解するた... -
鑑賞ノート
『刑事コロンボ/もう一つの鍵』あらすじと結末|解放された女が支配者へ変わるとき
序論 『刑事コロンボ/もう一つの鍵』は、シリーズ第1シーズンの中でも少し異色のエピソードである。 この回で犯人となるのは、ベス・チャドウィックという女性である。『刑事コロンボ』では裕福で知的な男性犯人が多い印象があるが、本作では家庭の中で抑... -
鑑賞ノート
【ネタバレ徹底解説】ドラマ『櫻子さんの足下には死体が埋まっている』あらすじ・キャスト・原作やアニメとの違い
「骨は、すべてを知っている」 美人で名家のお嬢様でありながら、三度の飯より「骨」を愛する風変わりな主人公、九条櫻子。日本に数名しかいない「標本士」という特殊な職業を持つ彼女が、骨に残された声なき声を手がかりに、難事件の真相を解き明かしてい...