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鑑賞ノート
身代わり忠臣蔵』が暴く、大石内蔵助という名の「中間管理職」の悲哀と解放
「大石内蔵助」と聞いて、あなたは何を思い浮かべるだろうか。 おそらく多くの人が、冷静沈着、揺るぎない忠誠心で家臣をまとめ上げ、主君の無念を晴らす、完璧なリーダーの姿を想像するはずだ。しかし、映画『身代わり忠臣蔵』は、その英雄像を鮮やかに裏... -
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絞首台の「不在」と、日活の「過剰」——『絞首台の下』を観て思ったこと
『絞首台の下』という題名を見た瞬間、私はまず“ちょっと怖いミステリー”を想像した。 絞首台、首吊り、刑場。そういう直接的な死の気配が、画面のどこかに具体物として置かれている映画だと思った。けれど実際に観ると、絞首刑は出てこない。ここでまず肩... -
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『夢遊病者の死』考察|真相より先に、人は自分の思い込みに追い詰められる
真相より先に、人は自分の思い込みに追い詰められる 江戸川乱歩の短編には、読み終えたあとに妙な湿り気を残すものがある。謎が解けて胸がすっと晴れるのではなく、むしろ真相が明らかになったあとで、かえって空気が重くなる。『夢遊病者の死』は、まさに... -
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朽ちゆく館の狂気:コーマン版『アッシャー家の惨劇』(1960)を徹底解剖 ― 英国版(1948)との比較から浮かび上がるポー恐怖の本質
ポーの呪縛、銀幕に蘇るアッシャー家の系譜 エドガー・アラン・ポーが1839年に発表した短編小説『アッシャー家の崩壊』は、ゴシック文学の歴史において不朽の金字塔として聳え立っている。この作品には、美女の死と再生、生きながらの埋葬、原因不明の病、... -
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山本周五郎『狐』考察——人はなぜ、見たいものを信じてしまうのか
山本周五郎の『狐』は、題名だけを見ると、いかにも怪異譚のように思える。 狐が人を化かす。城に怪しいものが出る。誰も正体を見破れない。 そんな昔話めいた空気が、物語の入口には漂っている。 しかし読み終えてみると、この小説で本当に人を化かしてい... -
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「掟上今日子の備忘録」── 眠れば消える探偵の全記録
眠ると記憶がリセットされる"忘却探偵"が、どんな事件も1日で解く── 2015年秋、日本テレビ系で放送されたこのドラマは、西尾維新作品初の実写化にして、新垣結衣の白髪メガネ姿が鮮烈な印象を残したミステリー×ラブストーリーである。脚本は後に『逃げるは... -
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NOPE/ノープ』考察|あらすじ解説とゴーディ事件、「大空の恐怖」が照らす見世物の残酷さ
ジョーダン・ピールの「nope/ノープ」は、観ている最中より、観終わってからじわじわ効いてくる映画だ。最初はUFOスリラーに見える。途中から怪獣映画の顔を見せる。けれど最後に残るのは、宇宙人の恐怖よりも、「人はなぜ見たがるのか」「なぜ撮りたがる... -
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「本物の吸血鬼」神話を生んだ身体──マックス・シュレックの演技解剖
はじめに 無声映画の怪物は、特殊効果ではなく身体で作られていた。1922年の『吸血鬼ノスフェラトゥ』におけるオルロック伯爵は、その極致である。台詞を持たない俳優マックス・シュレックは、頭蓋の形から指先の角度、歩幅、停止の秒数に至るまで「身体の... -
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回り続ける日常の中で ―芥川龍之介『一夕話』再読と、ささやかな自己認識―
大正11年(1922年)に発表された芥川龍之介の短編小説『一夕話(いっせきわ)』は、劇的な事件や超常的な要素を持たない、一見するととても穏やかで平易な作品だ。『羅生門』に見られる人間のエゴイズムや、『蜘蛛の糸』の教訓、『河童』の鋭い社会風刺と... -
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辞表が刀になった日|映画『サラリーマン忠臣蔵』(1960年)が描いた昭和サラリーマンの『仇討ち』
1. はじめに ─ 「忠臣蔵」を会社に持ち込む発想 日本人が最も愛する歴史劇といえば「忠臣蔵」である。元禄15年(1702年)12月、赤穂浪士47名が主君の仇を討つべく吉良邸に討ち入った事件は、義侠心と滅私奉公の物語として、歌舞伎、講談、映画、テレビドラ...