ニュージーランドとエジプトの試合は、1-3でエジプトが勝利した。
エジプトにとって、これは特別な勝利である。ワールドカップ本大会での初勝利。長い歴史を持つ国でありながら、世界の舞台ではなかなか届かなかった一勝を、この夜ようやく手にした。しかも、先制されてからの逆転勝利である。数字以上に、胸に残る試合だった。
グループ第2戦である。
ニュージーランドは初戦でイランと2-2。エジプトはベルギーと1-1。どちらも勝ち点1を持ってこの試合に入った。勝てば勝ち点4。グループ突破へ一気に近づく。引き分けなら、最終戦にすべてを持ち越す。第2戦らしい重さが、最初からピッチの上にあった。
先に試合を動かしたのは、ニュージーランドだった。
15分、フィン・サーマンがヘディングで決める。1-0。セットプレーからの先制点である。
ニュージーランドにとっては、理想的な入りだった。初戦でもイラン相手に粘りを見せたチームである。大きな国ではない。派手なスター軍団でもない。それでも、規律と高さと走力を持ち、相手に簡単な試合をさせない。サーマンのゴールには、このチームらしい実直さがあった。
前半を1-0で折り返した時点で、ニュージーランドには大きな可能性が見えていたはずである。
ワールドカップ初勝利。勝ち点4。グループGで一歩前へ出る未来。そうしたものが、あと45分の先にあった。見ている側にも、「このまま行けるのではないか」という空気が少しずつ漂っていた。
だが、後半のエジプトは別のチームのようだった。
出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN
前半の重さを振り払うように、エジプトは前へ出た。攻撃のテンポが上がり、ニュージーランドの守備が少しずつ押し込まれる。
モハメド・サラーの存在感も、時間とともに大きくなっていった。ボールを持つだけで、周囲の空気が変わる。相手の守備が一歩引き、味方が前へ走り出す。そういう選手がいるチームは、やはり強い。
58分、モスタファ・ジコが同点ゴールを決める。
1-1。エジプトが追いついた。
このゴールで、試合の重心は大きく変わった。ニュージーランドが守り切る試合から、エジプトが押し切る試合へ。もちろん、スコアはまだ同点である。だが、流れは明らかにエジプトへ傾いていた。ニュージーランドにとっては、前半に積み上げたものが少しずつ崩れていくような時間だった。
そして67分、サラーである。
モハメド・サラーが勝ち越し点を決めた。1-2。
出典:Vietnam.vn
大きな舞台で、必要な時間に決める。これがエースの仕事である。サラーのゴールは、単にエジプトをリードさせた一点ではない。国の長い待ち時間を、ぐっと前へ押し出すようなゴールだった。エジプトのサポーターにとって、この瞬間は忘れがたいものになったはずである。
ニュージーランドは苦しくなった。
先制した試合で追いつかれ、逆転される。これは精神的に重い。しかも相手は勢いを増している。サラーが前を向き、エジプトの選手たちが自信を持ってボールを動かす。ニュージーランドはもう一度試合を落ち着かせたかったはずだが、その時間をなかなか作れなかった。
82分、トレゼゲが3点目を決める。
1-3。これで試合は大きくエジプトへ傾いた。
トレゼゲのゴールは、勝利を確かなものにする一点だった。追いつき、逆転し、最後に突き放す。エジプトは後半だけで試合のすべてを塗り替えた。前半の苦しさも、先制された事実も、最後には初勝利へ向かう物語の一部になっていた。
ニュージーランドにとっては、悔しい敗戦である。
前半の出来は悪くなかった。先制点も取った。勝ち点3へ近づく時間も確かにあった。だが、後半に耐え切れなかった。初戦のイラン戦でもリードを守り切れなかっただけに、この試合の逆転負けは重く残るだろう。
それでも、ニュージーランドの大会が終わったわけではない。
最終戦はベルギー戦である。厳しい相手であることは間違いない。ただ、まだ可能性は残っている。ワールドカップでは、敗戦のあとにどれだけ顔を上げられるかが問われる。ニュージーランドには、その最後の90分が残されている。

一方のエジプトは、勝ち点4へ進んだ。
ベルギーと引き分け、ニュージーランドに勝つ。グループGで大きな位置を取った。しかも、ワールドカップ初勝利という歴史を手にしている。最終戦のイラン戦へ向かう表情は、かなり違ったものになるはずである。
この試合で印象に残ったのは、エジプトが後半に自分たちを取り戻したことだった。
前半はうまくいかなかった。先制もされた。だが、そこで沈まなかった。ジコが追いつき、サラーが決め、トレゼゲが仕上げる。名前が並ぶほどに、エジプトの攻撃に筋が通っていった。
ワールドカップの初勝利は、簡単には訪れない。
エジプトは長い時間を待った。その一勝が、こういう逆転劇で届いたことに、少し胸を動かされる。強い国が順当に勝つ試合とは違う。歴史の中でまだ空白だった場所に、ようやく一行が書き込まれたような勝利だった。
ニュージーランド 1-3 エジプト。
先に灯したのはニュージーランドだった。だが、後半にその光を大きくしたのはエジプトだった。
サラーが動かし、ジコが追いつき、トレゼゲが締めた夜。
ファラオは、ついにワールドカップで初めての勝利を刻んだ。



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