イングランドとガーナの試合は、0-0で終わった。
スコアだけを見れば、動きのない試合である。だが、この0-0には、グループ第2戦らしい重さがあった。イングランドは勝って決勝トーナメント進出を大きく引き寄せたかった。ガーナもまた、初戦の勝利を偶然ではないものにしたかった。両者にとって、ただの引き分けではなかった。
イングランドは初戦でクロアチアを4-2で下している。
勢いのある入りだった。ケイン、ベリンガム、ラッシュフォードが得点し、攻撃力を見せた。だからこそ、このガーナ戦では、もう一段階上へ進むことが求められていた。勝ち点6にして、グループLの中で大きく前へ出る。そういう試合である。
しかし、ガーナは簡単に道を開けなかった。
出典:FIFA公式
序盤からイングランドがボールを握る時間は長かった。サイドを使い、中央を探り、何度も相手陣内へ入っていく。だが、ガーナの守備は崩れなかった。深く構えながらも、ただ引いているだけではない。人に強く、スペースを消し、最後のところで身体を入れる。イングランドの白いユニフォームが前へ出るたびに、ガーナの黒い星がその前に立ちはだかった。
こういう試合は、攻めている側の方が苦しく見えることがある。
ボールは持っている。主導権もあるように見える。だが、ゴールが遠い。時間が進むほど、攻撃の一つひとつに焦りがにじむ。横へ動かし、また戻し、もう一度外へ運ぶ。見ている側にも、「そこまでは行くのに」というもどかしさが少しずつ積もっていった。
ガーナは、そのもどかしさを作り続けた。
前半、イングランドは自由に攻めているようで、決定的な一撃までは届かなかった。ガーナの守備は粘り強く、危険な場所をよく埋めていた。トーマス・パルティら中盤の選手も、相手のリズムを簡単には作らせない。派手な攻撃ではなく、試合を狭く、重く、耐えられる形に持っていく。その仕事が徹底されていた。
イングランドにとっては、嫌な時間が続いた。
初戦の4得点があるだけに、この試合でゴールが生まれない時間は余計に目立つ。ケインにボールが入らない。ベリンガムも決定的な場所で違いを作り切れない。途中から入った選手たちも流れを変えようとしたが、ガーナの壁は最後まで厚かった。
一方のガーナは、守るだけのチームではなかった。
もちろん、長い時間は守備に費やした。だが、カウンターに出る場面では、前線の選手たちがイングランドに不安を与えた。セメンヨや途中出場の選手たちが走り出すと、イングランドの守備にも少し緊張が走る。点を取りにいく時間は多くなかったが、完全に押し込まれて終わるだけの試合にはしなかった。
出典:Vietnam.vn
この0-0で印象に残ったのは、ガーナの落ち着きである。
ワールドカップでイングランドと向き合い、相手にボールを持たれ続ける。普通なら、どこかで慌ててもおかしくない。だが、ガーナは大きく崩れなかった。誰か一人の好守というより、チーム全体で我慢する時間を共有していた。そういう守備には、見た目以上の強さがある。
終盤、イングランドにも決定機はあった。
ニコ・オライリーのヘディングがクロスバーを叩く。こぼれ球にケインが反応するが、決め切れない。あの場面が、この試合を象徴していた。イングランドはゴールのすぐ近くまで行った。だが、最後の線だけを越えられなかった。
出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN
サッカーでは、クロスバーに当たった一撃が試合後まで残る。
入っていれば、イングランドの勝利で語られた試合だった。ケインが押し込んでいれば、苦しみながらも勝ち切った強豪の試合になっていた。だが、入らなかった。だから、この試合はガーナが守り抜いた勝ち点1として残る。
イングランドにとって、この引き分けは悪い結果ではない。
勝ち点4である。最終戦を前に、グループ突破へ向けた位置はまだ十分にある。ただ、内容には重さが残る。初戦のような勢いは見えなかった。攻撃の形を作りながら、最後に仕留める鋭さを欠いた。優勝を狙う国としては、こういう試合をどう受け止めるかが大切になる。
ガーナにとっては、価値のある勝ち点1だった。
初戦でパナマに勝ち、この試合でイングランドと引き分けた。勝ち点4。これは大きい。しかも、相手を0点に抑えた。華やかな勝利ではない。だが、グループを抜けるためには、こういう勝ち点1が後で効いてくることがある。
試合後の両チームの温度は、同じではなかったはずである。
イングランドは、勝ち点1を得たというより、勝ち点2を逃した感覚に近いだろう。ガーナは、勝ち点1を守り抜いたという実感があったはずである。同じ0-0でも、持ち帰るものは違う。
ワールドカップには、こういう試合がある。
得点はない。派手な場面も多くはない。それでも、グループの行方を静かに動かす試合である。イングランドが攻め、ガーナが耐えた。白い攻勢と黒い星の粘り。その対比が、90分の中にずっとあった。
イングランド 0-0 ガーナ。
ゴールは生まれなかった。
だが、ガーナは倒れず、イングランドはこじ開けられなかった。勝ち点1という小さな数字が、両国の最終戦に大きな影を落としている。




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