お店と日々– category –
お店のこと、鞆の浦での日々、営業の中で感じたことなどを綴るカテゴリーです。接客や商売、地域との関わり、店を続ける中で考えたことまで、公式のお知らせとは少し違う、店主としての暮らしを読みものとして残しています。
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お店と日々
正しいことを言う前に、少し立ち止まる夜
先日、同級生から店の周年祝いのメールをもらった。(3月11日で18周年!🎉) ただ、その文面が少しおかしかった。祝いの言葉ではあるのだが、どこか落ち着かず、普段の調子とも違っていた。気になって、こちらから電話をしてみた。 すると、受話器の向こう... -
お店と日々
日常の中の非日常――カフェが生み出す「特別な一瞬」と芥川龍之介「ひょっとこ」
ひょっとこの面をかぶった男の最期 芥川龍之介の初期作品「ひょっとこ」は、大正時代の浅草を舞台にした短編である。春の花見シーズン、隅田川にかかる吾妻橋の上には、花見船を見物しようと大勢の人々が集まっている。川を下る船の上では、酔った客が踊っ... -
お店と日々
店の裏側で起きていた、三つ目の設備の話
昨日、冷凍冷蔵庫とエコキュートの交換工事が終わった。厨房に新しい機械が入り、空気が少しだけ変わった気がした。設備が更新されると、仕事の段取りまで新しくなったような錯覚がある。 そんな流れで、ふと照明のことが気になった。冷凍冷蔵庫の近くには... -
お店と日々
長い一日、その先の十数年
数年前に、店の冷暖房設備をリース契約した会社がある。今日はその点検の日で、いつものように担当の方が店に来てくれた。 この方は、点検のついでに店の奥にあるホシザキ製の大型冷凍冷蔵庫も毎回さっと見てくれる。業務用の機械は、壊れてから慌てるより... -
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『セロ弾きのゴーシュ』(宮沢賢治)——関係性が人を変える仕事論
宮沢賢治のセロ弾きのゴーシュを読んでいて、どうしても自分のこれまでの仕事の時間が重なって見えてくる。 ゴーシュは楽団のセロ弾きである。しかし、彼はうまく弾けない。指揮者には叱られ、仲間からも遅れている。ひとりで練習しても、なかなか上達しな... -
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便器のコードから古城へ — ドラキュラと映画好き店主の思考
※この記事には「トイレ」「排泄」など日常の身体に関する表現が含まれています。気になる方はご注意のうえお読みください。 トイレ掃除をしていたら、いつもは気にしない便器のコード(電源線)にホコリがたくさん付いているのを見つけた。 普段は見ない場所... -
お店と日々
爆上がりの朝と、変わらない店の灯り
朝起きて外に出ると、車の屋根とボンネットにうっすらと雪が積もっていた。積もった、というほど大げさではないが、「ああ、ちゃんと冬だな」と思わせるには十分な白さだった。空気もどこか澄んでいて、寒いのに少し気持ちが引き締まる朝である。 9時過ぎ... -
お店と日々
唯心論と唯物論の話が、喫茶店で始まった理由
店をやっていると、いろんな人と話す機会がある。何気ない会話なのに、あとから妙に心に残るやり取りも少なくない。 今日書いておきたいのは、そんな一人との話である。 その人と知り合ったのは、店を始めたばかりの頃だった。鞆で、姉の同級生が営んでい... -
お店と日々
選ばなかった人生を想う夜――江戸川乱歩『モノグラム』を読んで
「結婚しないの?」と聞かれることがある。私はいつも笑って答える。「今の生活に満足しているから」と。 この言葉への反応はさまざまだ。「それもいいね」と言う人もいれば、「一度くらいはしてみれば」と軽く言う人もいる。けれど私は、今の暮らしをけっ... -
お店と日々
『大名倒産』を観て考えた、身の丈に合った店の続け方
映画『大名倒産』を観ながら抱いた素朴な疑問がある。「殿様なのに、なぜこんなに貧乏なのか?」という問いだ。主人公の松平小四郎(神木隆之介)が継いだ越後丹生山藩は3万石の小藩で、25万両(約100億円)もの借金を抱えている。しかし、冷静に考えれば...