パラグアイの旅は、ここで終わった。
決勝トーナメント第2回戦。相手はフランスである。優勝候補のひとつであり、前の試合ではスウェーデンを3-0で退けていた国である。一方のパラグアイは、決勝トーナメント1回戦でドイツをPK戦の末に破った。大会の流れを揺らす大きな勝利だった。
そのパラグアイが、もう一度世界を驚かせようとしていた。
スコアは0-1。数字だけを見れば、フランスが順当に勝った試合に見えるかもしれない。だが、実際には簡単な試合ではなかった。フランスは押し込み、ボールを持ち、攻める時間を多く作った。それでもパラグアイは、最後のところで簡単には崩れなかった。
前半から、試合には独特の重さがあった。
フランスはエムバペを中心にゴールへ近づこうとする。だが、パラグアイは距離を詰め、体を寄せ、自由を奪おうとした。綺麗な試合というより、相手の呼吸を乱し、前へ進ませないための試合だった。フランスにとっては苛立ちの時間が続いたはずである。
出典:FIFA公式
ただ、それもまた決勝トーナメントである。
ベスト8をかけた試合に、余裕のある美しさだけが並ぶわけではない。負ければ終わりの90分では、相手の長所を消すこともまた戦いになる。パラグアイは、自分たちが勝ち残るための方法を選んでいた。ドイツを倒したチームらしく、相手がどれほど強くても、簡単に道を譲るつもりはなかった。
試合が動いたのは70分である。
VARを経てフランスにPKが与えられた。キッカーはキリアン・エムバペ。重い空気の中で、彼はそのPKを決めた。これがこの試合唯一のゴールとなった。
出典:中日新聞
1-0。
それは大きな歓喜というより、フランスにとってはようやく開いた細い出口のような得点だった。崩し切ったというより、苦しみながら得た一歩である。だが、ワールドカップの決勝トーナメントでは、その一歩がすべてを分ける。
パラグアイはそこからも倒れなかった。追いつくために前へ出る。フランスはリードを守りながら、試合を閉じにかかる。残り時間が減るほどに、パラグアイの攻撃には切迫感が増し、フランスの守備には慎重さが増していった。
追加点は生まれなかった。延長にも、PK戦にもならなかった。
フランスが1-0で勝ち切った。
この勝利は、派手なものではない。だが、強い国がいつも派手に勝つわけではない。むしろ、こういう試合を落とさないところに、フランスの現在地があるのだろう。思うようにいかない時間があり、相手の激しさに飲まれそうになる場面があり、それでも最後には得点を取り、無失点で終える。
華やかさよりも、勝ち残る力が見えた試合だった。
一方で、パラグアイの敗退にも、簡単には消せない重みがある。
ドイツを倒し、フランスを最後まで苦しめた。0-1という結果は敗戦である。しかし、それは何もできずに終わった敗戦ではない。相手を苛立たせ、試合を荒れた方向へ引き込み、優勝候補を最後まで安心させなかった。そこには、勝つつもりで戦っていたチームの姿があった。
もちろん、激しさが過ぎた場面もあった。試合は何度か緊張を帯び、冷静さを失いかける瞬間もあった。それでも、敗れたからといって、パラグアイがここまで歩いてきた道のりまで否定されるものではない。長くワールドカップ本大会から遠ざかっていた国が、再びこの舞台に戻り、ドイツを破り、フランスと1点差の試合をした。その事実は残る。
勝ったフランスは、準々決勝へ進む。
次の相手はモロッコである。モロッコはカナダを3-0で破り、再びベスト8へ進んできた。2022年大会の準決勝を思い出させる顔合わせでもある。あの時の記憶を持つ国同士が、今度は準々決勝で向き合う。
フランスは、夢をつなげた。
パラグアイは、ここで去る。
ただ、その去り際は決して小さくない。ドイツを倒した夜と、フランスを苦しめたこの夜。その二つは、今大会のパラグアイを語るうえで残り続けるはずである。
ワールドカップでは、勝った国だけが次へ進む。
だが、敗れた国の足跡まで、そこで消えるわけではない。
フランスはベスト8へ。
パラグアイは、誇りを残して大会を去った。



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