夢は見た。だが、扉はブラジルが開けた

ワールドカップの決勝トーナメントで、日本がブラジルと戦う。

この一文だけで、どこか現実離れしている。
相手は五度の世界王者である。黄色いユニフォーム、緑の縁取り、サッカーそのものの象徴のような国である。日本がいつか越えたい壁として語ってきた相手が、ただの親善試合ではなく、ワールドカップの決勝トーナメントで目の前に立った。

結果は、ブラジル 2-1 日本。
日本の大会はここで終わり、ブラジルはベスト16へ進んだ。

試合は、日本が先に夢を見せた。

29分、佐野海舟が決めた。ブラジルの守備の隙を逃さず、日本が先制したのである。ワールドカップの決勝トーナメントで、日本がブラジルから先に点を取る。その事実だけで、胸の奥が少し熱くなる。勝てるかもしれない、ではなく、勝ちに行っている。その姿勢が、スコアに表れた時間だった。

日本はグループリーグを2位で突破し、ここまで来た。
オランダと引き分け、チュニジアに勝ち、スウェーデンとの難しい試合も経て、ようやくたどり着いた舞台である。そこにブラジルがいることを、最悪の相手と見ることもできる。だが、やはりこれは特別な巡り合わせだったと思う。決勝トーナメントでブラジルと戦える国は限られている。そのピッチに日本が立っていた。

前半をリードして終える時間帯、日本は本当にブラジルを苦しめていたのだろう。

出典:FIFA公式

ただ、ブラジルはブラジルである。
焦っているように見えても、どこかで試合を自分たちの方へ引き戻してくる怖さがある。後半56分、カゼミーロが同点ゴールを決めた。長く世界の強度を知ってきた選手が、決勝トーナメントの重い時間帯に仕事をした。日本にとっては痛い同点だったが、同時に、ブラジルという国の底力を感じる場面でもあった。

1-1になってからの時間は、決勝トーナメント特有の重さを帯びていたはずである。

次の1点を取れば前へ進む。
取られれば、終わりが近づく。
90分で決まらなければ延長がある。延長でも決まらなければPK戦がある。だが、そこまで行ける保証はない。時計は進み、体力は削られ、判断は少しずつ重くなる。

日本は耐えた。
ブラジルも焦れた。
そして、試合はアディショナルタイムに入った。

95分、ガブリエウ・マルティネッリ。
最後に扉を開けたのは、ブラジルだった。

この時間の失点は、あまりに残酷である。延長戦の入口が見えていた。PK戦まで持ち込めば、何かが起こるかもしれない。そう思い始める時間帯である。そこに決勝点を浴びる。日本の選手にとって、そして見ていた者にとっても、簡単に言葉にならない終わり方だった。

出典:サッカーダイジェストWeb

だが、責める気にはなれない。

ブラジルを相手に、先制し、終盤まで1-1で粘った。負けたという結果は消えない。日本はまた、ワールドカップの決勝トーナメントで勝つという壁を越えられなかった。だが、ブラジル相手に夢を見た時間があったことも、同じように消えない。

ワールドカップは、勝った国だけのものではない。

敗れた国にも、そこまで来た道がある。
日本には、日本のグループリーグがあり、オランダ戦の粘りがあり、チュニジア戦の勢いがあり、スウェーデン戦を経てつかんだ2位通過があった。そして最後に、ブラジルと戦った。これは、決して小さな物語ではない。

ブラジルは次へ進む。
次の相手は、コートジボワール対ノルウェーの勝者である。ここから先、ブラジルはまた優勝候補としての重みを背負っていく。苦しみながら勝ったこの試合は、ブラジルにとっても簡単な一勝ではなかったはずである。世界王者の歴史を持つ国でも、決勝トーナメントの一試合を勝ち抜くのは容易ではない。

日本は去る。

悔しさは残る。
またか、という思いもある。
それでも、選手たちはブラジルに勝つつもりでピッチに立っていたはずである。外から見ている者が、簡単に「ここが悪い」「あれが足りない」と断じる気にはなれない。彼らは、あの舞台で、日本のユニフォームを着て、ブラジルと戦った。それだけでも、軽く扱ってはいけない。


そして、ここからは私の話である。

ブラジルに勝つという夢を、完全に捨て去っていたわけではなかった。もちろん簡単ではない。相手はブラジルである。それでも、どう戦うのか。そして、もし敗れるとしても、どのように去っていくのか。それを見届けるために、頑張ってリアルタイム視聴することを決めていた。

ただ、さすがに徹夜は難しい。

夜の10時には寝て、午前2時に起きる。そこから試合を見て、試合が終わる午前4時ごろにもう一度寝る。そういう完璧な計画を立てていた。

そして、日本とブラジルが戦っている夢を見た。

気がついたら、午前4時だった。目覚ましをつけていて、なりっぱなしになったのに全く気づかなかった。
テレビをつけたときには、時すでに遅しである。試合はほぼ終わっていた。

結局、そのあとまた寝て、起きたのは午前7時だった。
合計すれば、たっぷり9時間寝たことになる。

日本はブラジルに敗れた。
私もまた、ブラジル戦を見届けるという小さな決意に敗れた。

だが、今日は絶好調である。

9時間も寝れば・・・

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