エクアドル 0-0 キュラソー|届かなかった28本と、初勝ち点を守った小さな島

エクアドルとキュラソーの試合は、0-0で終わった。

スコアだけを見れば、動きのない試合に見える。だが、この0-0にはかなりの重みがあった。攻め続けた国と、守り続けた国。勝ち点3を取りにいった国と、初めての勝ち点を両手で守り抜いた国。その表情は、同じ引き分けでもまったく違っていたはずである。

グループ第2戦である。

エクアドルは初戦でコートジボワールに敗れていた。ここで勝たなければ、最終戦のドイツ戦がかなり重くなる。相手は初戦でドイツに7-1と大敗したキュラソー。エクアドルにとっては、勝ち点3だけでなく、得失点差まで見据えたい試合だったはずである。

しかし、サッカーはそう簡単には進まない。

エクアドルは攻めた。ボールを持ち、相手陣内へ入り、何度もゴールへ迫った。シュートは28本。そのうち15本が枠内だったという数字だけを見ても、どれだけ押し込んだ試合だったかが分かる。普通なら、どこかで一点は入ってもおかしくない。

だが、その普通を止めた選手がいた。

キュラソーのGK、エロイ・ルームである。

この日のルームは、何度もエクアドルの前に立ちはだかった。近い距離のシュートも、角度のあるシュートも、ゴール前の混戦も、最後のところで止める。

出典:FIFA公式

ひとつ止めるたびに、キュラソーの選手たちは少しずつ息を吹き返し、エクアドルの選手たちは少しずつ焦りを深めていくようだった。

ワールドカップでは、ときどきGKが試合そのものになってしまう夜がある。

この試合はまさにそうだった。エクアドルが主導権を握っていた。攻めていた。決定機も作っていた。それでも、最後の一枚が破れない。ルームのセーブが重なるほど、0-0というスコアに不思議な力が宿っていった。

出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN

エクアドルにとっては、苦しい時間だったと思う。

勝たなければならない試合で、これだけ攻めても点が入らない。時間が進むほど、攻撃は少しずつ急ぎ始める。丁寧に崩すよりも、何とか入れてしまいたいという気持ちが出る。そうなると、相手の守備はかえって踏ん張りやすくなる。エクアドルはゴールに近づきながら、最後の一歩だけが遠かった。

エネル・バレンシアのような経験ある選手にも、重さはあったはずである。こういう試合では、ひとつのシュート、ひとつのトラップ、ひとつの判断が大きく見える。決めれば英雄。外せば、また時計だけが進む。ワールドカップの第2戦には、そういう切実さがある。

一方のキュラソーは、ただ守っていただけではない。

もちろん、長い時間を守備に費やした。押し込まれ、シュートを浴び、耐える時間が続いた。けれど、完全に崩れたわけではなかった。ラインを整え、身体を張り、こぼれ球に反応する。小さな国が大きな相手に向かうとき、必要なのは勇敢さだけではない。90分間、同じことを続ける集中力である。

キュラソーは、それを見せた。

初戦の7失点から、この試合の無失点へ。これは簡単な変化ではない。大会の初戦で大敗すれば、チームの心は崩れてもおかしくない。だが、キュラソーはそこから立ち上がった。しかも、南米予選を勝ち抜いてきたエクアドルを相手に、0-0で終えた。

この勝ち点1は、キュラソーにとって歴史的なものになった。

ワールドカップ初出場の国が、初めて勝ち点を取る。しかも、GKが記録的なセーブを重ねて守り抜いた勝ち点である。勝利ではない。だが、試合後のキュラソーの表情には、勝利に近いものがあったのではないかと思う。

出典:Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN

エクアドルにとっては、反対に重い勝ち点1である。

負けてはいない。大会から消えたわけでもない。だが、勝てるはずだった試合、勝たなければならなかった試合で、勝ち点3を取り逃した。28本のシュートが残したのは、支配の証明であると同時に、決め切れなかった痛みでもある。

出典:サッカーダイジェストWeb

グループEの景色も、この0-0でさらに複雑になった。

ドイツは2連勝で先へ進み、コートジボワールも力を見せている。エクアドルは最終戦でドイツと向き合わなければならない。キュラソーはまだ希望を残した。勝ち点1という小さな数字が、両チームの最終戦の意味を大きく変えた。

この試合は、派手なゴールの記憶ではなく、止め続けた記憶として残る。

ゴールネットは揺れなかった。だが、何も起こらなかったわけではない。エクアドルの焦り、キュラソーの粘り、ルームの手、そして時間が進むほど重くなる0-0。そのすべてが、ワールドカップらしい緊張を作っていた。

エクアドル 0-0 キュラソー。

勝てなかった国と、守り抜いた国。

同じ勝ち点1でも、そこに残った温度はまったく違った。キュラソーにとって、この0-0はただの引き分けではない。小さな島が、世界の舞台で初めて自分たちの場所を守った夜であった。

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