ワールドカップ2026出場国紹介の第12回は、スコットランド代表である。
これでグループCの4か国がそろう。
第9回はブラジル代表。ワールドカップ5度優勝の王国であり、6つ目の星を探す国として紹介した。
第10回はモロッコ代表。2022年カタール大会でアフリカ勢初のベスト4に進み、もう「驚き」ではなく実力を証明する国として紹介した。
第11回はハイチ代表。1974年以来、50年以上ぶりにワールドカップへ戻ってくる、小さなカリブの挑戦者だった。
そして第12回が、スコットランド代表である。
グループCは、ブラジル、モロッコ、ハイチ、スコットランドの4か国で構成されている。
ブラジルという王国がいる。モロッコという前回大会ベスト4の国がいる。ハイチという50年以上ぶりに戻ってくる国がいる。そしてスコットランドは、1998年以来、28年ぶりにワールドカップへ戻ってくる国である。
スコットランド代表をひと言で表すなら、私は「28年ぶりに戻ってくる、サッカーの古い国」と書きたくなる。
まず、基本情報を整理しておきたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国名 | スコットランド |
| 愛称 | タータン・アーミー |
| 2026年大会 | 欧州予選を突破して出場 |
| グループ | C組 |
| 対戦相手 | ブラジル、モロッコ、ハイチ |
| 監督 | スティーブ・クラーク |
| W杯出場 | 9度目 |
| 前回出場 | 1998年フランス大会 |
| W杯最高成績 | グループステージ |
| 大きなテーマ | 初の決勝トーナメント進出を果たせるか |
| 注目選手 | アンドリュー・ロバートソン、スコット・マクトミネイ、ジョン・マッギン、キーラン・ティアニーなど |
スコットランドは、サッカーの歴史においてとても古い国である。
サッカーという競技を語るとき、イングランドとスコットランドの名前は外せない。世界最古の国際試合として知られるのも、イングランド対スコットランドである。つまりスコットランドは、サッカーの黎明期からそこにいた国である。
1954年スイス大会
出典:FIFA公式
けれど、近年のワールドカップでは、その名前を長く見なかった。
前回出場は1998年フランス大会である。
1998年というと、かなり昔である。フランスが初めてワールドカップを制した大会であり、ジダンが決勝で2得点した大会である。日本代表が初めてワールドカップに出場した大会でもある。
1998年フランス大会
出典:FIFA公式
その1998年大会以来、スコットランドはワールドカップ本大会から遠ざかっていた。
28年という時間は長い。
1998年大会を見ていた子どもは、もう大人になっている。若いサッカーファンにとっては、スコットランドがワールドカップに出ていた記憶そのものがないかもしれない。
スコットランドは、サッカーの古い国でありながら、ワールドカップでは長い空白を持つ国でもある。
この組み合わせが、少し切ない。
伝統はある。
サポーターの熱もある。
サッカー文化もある。
けれど、ワールドカップにはなかなか出られなかった。
その国が、2026年に戻ってくる。
これは、それだけで一つの物語である。
スコットランド代表には、これまでワールドカップで一度もグループステージを突破したことがないという歴史もある。
出場経験はある。だが、その先へ進めていない。
これはスコットランドにとって、かなり大きなテーマだと思う。ワールドカップに戻ってきたからには、ただ出場して終わるのではなく、初めてグループステージの向こう側へ行きたいはずである。
2026年大会は、出場国が48か国に拡大される大会である。
各組の上位2チームに加え、成績上位の3位チームにも決勝トーナメント進出の可能性がある。つまり、スコットランドにとっては、これまでよりも少し現実的にグループ突破を狙える大会でもある。
もちろん、簡単ではない。
グループCにはブラジルがいる。モロッコがいる。ハイチもいる。
ブラジルは優勝候補であり、グループ突破の本命である。モロッコも2022年大会でベスト4に進んだ実力国である。この2か国を相手に、スコットランドが正面から勝ち抜くのは容易ではない。
しかし、3位突破の可能性もある。
だからこそ、初戦のハイチ戦が非常に大事になる。
スコットランドの初戦はハイチである。
ハイチは50年以上ぶりにワールドカップへ戻ってくる国であり、グループCでは挑戦者の立場に見られるだろう。スコットランドにとっては、ここで勝ち点3を取りたい。いや、現実的に考えるなら、取らなければならない試合になる。

ただし、こういう試合ほど難しい。
スコットランドは久しぶりのワールドカップである。選手も、サポーターも、国全体も、大きな期待を抱いているはずである。その初戦で「勝たなければならない」と思う相手と当たる。これは簡単な状況ではない。
ハイチは失うものが少ない。思い切って戦ってくるだろう。
一方のスコットランドは、勝ち点を落とすと一気に苦しくなる。ブラジル、モロッコとの試合を残しているからである。初戦で勝てるかどうか。それが、スコットランドの大会全体を大きく左右する。
次に、スコットランドはモロッコと対戦する。
これはかなり難しい試合である。
モロッコは守備が堅い。カウンターも鋭い。2022年大会でスペインやポルトガルを破り、準決勝まで進んだ国である。スコットランドにとっては、ボールを持てる時間があるかもしれないが、モロッコの守備を崩すのは簡単ではない。

スコットランドもまた、体を張る国である。
だから、この試合は華やかな打ち合いというより、非常に厳しい競り合いになるかもしれない。中盤でぶつかり合い、セットプレーが重要になり、少ないチャンスをどちらがものにするか。そんな試合になりそうである。
最後はブラジル戦である。

スコットランドとブラジルには、ワールドカップでの対戦の記憶がある。
1998年フランス大会の開幕戦で、スコットランドはブラジルと対戦した。あの大会は、スコットランドにとって前回のワールドカップ出場であり、ブラジルにとっては前回大会王者として臨んだ大会だった。
2026年に、またスコットランドとブラジルが同じ組に入った。
これは少し物語を感じる。
1998年で止まっていたスコットランドのワールドカップの記憶が、2026年にブラジル戦で再び動くようにも見える。もちろん、相手は非常に強い。ブラジルは6度目の優勝を狙う国であり、ヴィニシウス・ジュニオールをはじめとする世界的な選手がいる。
スコットランドがブラジル相手に勝ち点を取るのは簡単ではない。
だが、もしグループ突破のために勝ち点が必要な状況でこの試合を迎えるなら、スコットランドは全力でぶつかるしかない。
ワールドカップには、こういう試合がある。
強豪国と、長く待った国が同じピッチに立つ。実力差はある。だが、90分間は同じルールで戦う。サポーターは歌い、選手は走り、試合が終わるまで何が起きるか分からない。
そこに、スコットランド代表を見る面白さがある。
スコットランド代表の中心にいるのは、アンドリュー・ロバートソンである。
ロバートソンは、長くリバプールで活躍してきた左サイドバックであり、スコットランド代表のキャプテンでもある。走力があり、クロスがあり、チームを引っ張る力がある。スコットランドを見るとき、まず彼の存在は外せない。
出典:Football Tribe
彼は、ただの有名選手というだけではない。
スコットランド代表にとって、ロバートソンは気持ちの象徴でもあると思う。前へ走る。戻って守る。声を出す。仲間を鼓舞する。そういう姿が、スコットランドらしさと重なる。
中盤では、スコット・マクトミネイが重要である。
出典:Goal.com
マクトミネイは、代表で得点力も見せている選手である。大柄で、前へ出る力があり、ゴール前に入っていける。スコットランドが強い相手に勝ち点を取るためには、彼のように中盤から得点に絡める選手が必要である。
ジョン・マッギンも忘れられない。
出典:FOOTBALL ZONE
マッギンは、体を張り、走り、ボールを運ぶことができる選手である。見ていて分かりやすい派手さよりも、チームに粘りを与えるタイプの選手だと思う。スコットランドの泥臭さ、しぶとさを象徴する一人である。
キーラン・ティアニーも、守備と左サイドで重要な存在になる。
出典:FOOTBALL ZONE
スコットランドには、世界的なスーパースターが何人も並んでいるわけではない。ブラジルのような華やかさはない。モロッコのように前回大会で世界を驚かせた記憶もない。
だが、スコットランドには、チームとしての熱がある。
サポーターの熱もある。
「タータン・アーミー」と呼ばれるスコットランドのサポーターは、世界的にもよく知られている。キルト、バグパイプ、青いユニフォーム、歌。スコットランドがワールドカップに戻ってくるということは、ピッチ上だけでなく、スタンドにも独特の雰囲気が戻ってくるということである。
ワールドカップには、強い国だけではなく、雰囲気を作る国も必要である。
スコットランドは、まさにそういう国だと思う。
ブラジルの黄色。
モロッコの赤。
ハイチの青と赤。
そしてスコットランドの青。
グループCは、色だけを見ても面白い。
特にスコットランドの青は、どこか曇り空や海風のような感じがある。南米の明るさとは違う。カリブの陽光とも違う。北の国の湿った空気、古いサッカー場、雨の中で歌うサポーター。そんなイメージが浮かぶ。
スコットランド代表を見るとき、私は「待つ時間」について考えてしまう。
28年ぶりのワールドカップ。
これは、ただの数字ではない。
その間に、いくつもの大会があった。2002年日韓大会、2006年ドイツ大会、2010年南アフリカ大会、2014年ブラジル大会、2018年ロシア大会、2022年カタール大会。スコットランドは、そのすべてを本大会の外から見ていたことになる。
サポーターは、どんな気持ちで見ていたのだろうか。
同じ英国のイングランドが出場する中で、自分たちの国は出られない。欧州選手権には出ても、ワールドカップには届かない。あと少しで届きそうで届かない。そんな時間が続いたはずである。
だから、2026年大会の出場は、本当に大きい。
ワールドカップに戻ること。
国歌を歌うこと。
世界中の人が見る試合で、スコットランドの名前が表示されること。
それだけでも、サポーターにとっては特別な瞬間になるだろう。
しかし、スコットランドはそこで満足できるだろうか。
おそらく、できない。
28年ぶりに戻ってきたからこそ、今度こそグループステージを突破したい。初めて決勝トーナメントへ行きたい。これまで越えられなかった壁を越えたい。
2026年大会は、そのための大きな機会である。
出場国が増え、3位でも決勝トーナメントに進める可能性がある。スコットランドにとって、これは現実的な希望になる。初戦でハイチに勝ち、モロッコかブラジルから勝ち点を拾うことができれば、決勝トーナメント進出は見えてくる。
もちろん、簡単な計算ではない。
ワールドカップは、机の上の計算通りには進まない。初戦でつまずくこともある。強豪相手に善戦しても勝ち点を取れないこともある。逆に、思わぬところでチャンスが転がってくることもある。
スコットランドは、そのチャンスをつかめるだろうか。
この国のサッカーには、どこか不器用な魅力がある。
華麗に勝つというより、苦しみながら戦う。泥臭く走る。体を張る。サポーターが歌い続ける。そういう姿が似合う。
日本から見ると、スコットランド代表は少し遠い存在である。
しかし、1998年大会を思い出すと、どこか懐かしさもある。日本が初めてワールドカップに出た大会に、スコットランドも出ていた。そのスコットランドが、28年ぶりに戻ってくる。
これは、サッカーの時間の流れを感じさせる。
ブラジルのように常に大会にいる国もあれば、スコットランドのように長く姿を消して、また戻ってくる国もある。ハイチのように50年以上ぶりに戻る国もある。モロッコのように前回大会で歴史を変えた国もある。
グループCは、そういう時間の違う国が集まっている。
ブラジルは王国の時間を背負っている。
モロッコは2022年の記憶を背負っている。
ハイチは50年以上の空白を背負っている。
スコットランドは28年の待ち時間を背負っている。
こうして見ると、グループCはかなり面白い。
スコットランド代表の2026年大会は、ただの復帰ではない。
サッカーの古い国が、長い空白を越えて、もう一度世界の舞台に立つ大会である。そして、これまで届かなかった決勝トーナメントへ進めるかどうかを問われる大会でもある。
28年ぶりに戻ってくる、サッカーの古い国。
スコットランド代表が、その長い待ち時間の先に何を見せるのか。
ハイチとの初戦から、しっかり見ておきたい。







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