グループFでは、ここまでオランダ、日本、スウェーデンを見てきた。
オランダは、準優勝3回の歴史を持ちながら、まだ頂点に届いていないオレンジ軍団である。
日本は、1998年の初出場から8大会連続出場へと歩んできた、青の積み重ねのチームである。
スウェーデンは、1958年準優勝、1994年3位、2018年ベスト8の記憶を持つ、北欧の静かな強豪である。
そのグループFの最後に見るのが、チュニジア代表である。
チュニジアと聞くと、まず地中海の国という印象が浮かぶ。北アフリカにありながら、ヨーロッパにも近い。古代カルタゴの歴史、白い街並み、青い海、そして砂漠の風景。アフリカ、アラブ、地中海が重なる場所にある国である。
出典:ABOUT AFRICA
その代表チームの愛称は、「カルタゴの鷲」。
この響きがいい。
派手なスター軍団というより、しぶとく、堅く、簡単には折れないチーム。チュニジア代表には、そんな印象がある。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国名 | チュニジア |
| 代表チームの愛称 | カルタゴの鷲 |
| 大陸連盟 | CAF |
| ワールドカップ出場 | 7回目 |
| 初出場 | 1978年アルゼンチン大会 |
| 最高成績 | グループステージ |
| 2022年カタール大会 | グループステージ |
| 2026年大会予選 | アフリカ予選を突破 |
| 現在の連続出場 | 3大会連続 |
| グループFの相手 | オランダ、日本、スウェーデン |
1978年、アフリカとアラブの歴史を動かした勝利
チュニジア代表のワールドカップ史で、まず語られるのは1978年アルゼンチン大会である。
この大会で、チュニジアは初めてワールドカップに出場した。
そして、初戦でメキシコに3-1で勝利した。
この勝利は、単なる初勝利ではなかった。
アフリカ勢として、そしてアラブ勢として、初めてワールドカップで勝利を挙げた試合だったのである。
いまではアフリカの国々がワールドカップで勝つことは珍しくない。モロッコは2022年大会でベスト4に進み、セネガル、ガーナ、ナイジェリア、カメルーンなども、それぞれ強烈な記憶を残してきた。
だが、その流れの入口に、チュニジアの1978年の勝利があった。
メキシコに勝ち、次にポーランドに敗れ、最後は当時の西ドイツと0-0で引き分けた。
結果として、グループステージ突破には届かなかった。
それでも、チュニジアは世界に一つの印を残した。
アフリカとアラブのサッカーが、ワールドカップで勝てることを示したのである。
何度も出場しながら、まだ越えていない壁
チュニジアは、ワールドカップに何度も出場している。
1978年、1998年、2002年、2006年、2018年、2022年、そして2026年。
今回で7回目の出場である。
この数字だけを見ると、チュニジアはワールドカップの常連国の一つと言っていい。特に21世紀に入ってからは、本大会に顔を出す機会が増えている。2026年大会は、2018年、2022年に続く3大会連続出場となる。
ただし、チュニジアにはまだ越えていない大きな壁がある。
グループステージ突破である。
これまで何度も本大会に出ながら、まだ決勝トーナメントには進んでいない。
この事実は、日本代表の「ベスト16の壁」と少し似ている。
日本にとっての次の壁がベスト8なら、チュニジアにとっての次の壁はグループステージ突破である。
出場するだけではなく、次へ進む。
そこに、チュニジア代表の2026年大会の大きな意味がある。
2018年、久しぶりに戻ってきた舞台
チュニジアが長い空白を経てワールドカップに戻ってきたのは、2018年ロシア大会だった。
2006年ドイツ大会以来、12年ぶりの本大会出場である。
出典:FIFA公式
この大会でチュニジアは、イングランド、ベルギー、パナマと同じグループに入った。
結果として突破はできなかったが、パナマ戦では2-1で勝利した。1978年以来、40年ぶりのワールドカップ勝利である。
この「40年ぶり」という時間の長さは重い。
1978年に歴史的な勝利を挙げた国が、次の勝利まで40年待った。
それでも、チュニジアはワールドカップの舞台に戻り、勝利を取り戻した。
派手な快進撃ではない。
だが、こういう勝利には、長く応援してきた人たちにしかわからない喜びがある。
2022年、フランスを破った記憶
2022年カタール大会でも、チュニジアは忘れにくい試合を残した。
グループステージ最終戦で、前回王者フランスに1-0で勝ったのである。
得点を決めたのは、ワフビ・ハズリだった。
出典:FIFA公式
この勝利は大きかった。
フランスは、世界でも屈指の強豪である。2018年ロシア大会の優勝国であり、選手層も厚い。もちろん、この試合のフランスはすでに突破を決めていた事情もあった。だが、それでもワールドカップ本大会でフランスに勝つという事実は、簡単なものではない。
チュニジアはこの勝利でも、残念ながらグループステージ突破には届かなかった。
だが、「カルタゴの鷲」は、また一つ世界に記憶を残した。
勝ったのに突破できなかった。
この悔しさは、2026年につながっているはずである。
堅い守備と、予選で見せた集中力
チュニジア代表を語る上で、守備の堅さは欠かせない。
2026年大会へ向かう予選でも、チュニジアは非常に堅い戦いを見せた。
大きく点を取り続けるチームというより、失点を抑え、試合を壊さず、粘り強く勝ち点を積み上げるチームである。
こういうチームは、ワールドカップのグループステージでは厄介である。
相手から見れば、簡単に崩せない。
先に点を取れなければ、時間が経つほど焦りが出る。
チュニジアは、その焦りを待つことができるチームでもある。
強豪国と対戦する時、守備があるチームは希望を持てる。
一発勝負ではないグループステージでも、守備の安定は大きな武器になる。
ただし、守るだけでは先へ進めない。
グループステージを突破するためには、どこかで勝たなければならない。
そのためには、少ないチャンスを得点に変える力が必要になる。
チュニジアの2026年大会は、そのバランスが問われる大会になる。
カルタゴの鷲という名前
「カルタゴの鷲」という愛称には、歴史の響きがある。
カルタゴは、古代地中海世界で大きな力を持った都市国家である。ローマと争った存在としても知られる。今のチュニジアの地に、その記憶が残っている。
その名を背負う代表チームが、世界の舞台で戦う。
もちろん、サッカーは古代史ではない。
しかし、代表チームの愛称には、その国の自己像が出ることがある。
鷲は、高く飛ぶ。
鋭く見る。
機を待って、獲物を捕らえる。
チュニジア代表のサッカーにも、どこかそのイメージが重なる。
派手に押し続けるというより、耐えながら、相手の隙を探す。
そして、ここぞという時に前へ出る。
そう考えると、「カルタゴの鷲」という言葉は、チュニジア代表によく似合っている。
グループFで待つオランダ、日本、スウェーデン
チュニジアが入ったグループFは、簡単な組ではない。
相手は、オランダ、日本、スウェーデンである。
オランダは、ワールドカップ準優勝3回の強豪であり、グループの中心と見られる国だろう。クライフの時代から続くオレンジ軍団の記憶を持ち、今も欧州の実力国である。チュニジアにとっては、守備の集中力が最も問われる相手になる。

日本は、近年大きく成長している。
2022年カタール大会では、ドイツとスペインを破った。欧州で経験を積む選手が多く、スピード、切り替え、技術を持つチームである。チュニジアにとっては、リズムを作らせないことが重要になるだろう。

一方で、日本から見ても、チュニジアは簡単な相手ではない。
堅く守られ、時間を使われ、少ないチャンスで先制されるような展開になれば、日本にとっても非常に難しい試合になる。
スウェーデンは、北欧の強さを持つチームである。
体格、組織力、前線の力。特に近年のスウェーデンには、前で決め切れる選手がいる。チュニジアにとっては、初戦から集中力の高い試合が求められる相手である。

グループFでは、オランダが大きな存在であり、日本とスウェーデンも力を持っている。
その中でチュニジアは、決して目立つ優勝候補ではない。
だが、こういうチームがグループの流れを変えることがある。
勝ち点1を奪う。
先制点を取る。
相手を焦らせる。
それだけで、グループ全体の空気は変わる。
チュニジアは、そういう怖さを持つ国である。
北アフリカから来る、しぶとい挑戦者
出典:FIFA公式
チュニジア代表には、どこか「簡単には語れない強さ」がある。
ワールドカップで決勝トーナメントに進んだことはない。
だが、1978年にはアフリカとアラブの歴史を動かす勝利を挙げた。
2018年には40年ぶりの勝利を手にした。
2022年にはフランスを破った。
そして2026年には、3大会連続で世界の舞台に立つ。
大きなタイトルや派手なスターだけで語る国ではない。
それでも、ワールドカップの中で何度も印象を残してきた国である。
チュニジアにとって、2026年大会の目標ははっきりしている。
グループステージを越えることだ。
それは簡単ではない。
オランダ、日本、スウェーデンという相手を考えれば、厳しい戦いになる。
しかし、チュニジアはそういう厳しい場所でこそ、しぶとさを見せるチームでもある。
守り、耐え、隙を待つ。
カルタゴの鷲は、派手に舞うのではなく、静かに機をうかがう。
グループFの中で、チュニジアはどんな存在になるのか。
ただの挑戦者で終わるのか。
それとも、誰かの計算を狂わせる国になるのか。
北アフリカから来る赤と白のチームが、北米のピッチでどこまで翼を広げるのか。
その一線を越える瞬間を、静かに見届けたい。





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