ワールドカップの初戦で、ここまで試合の印象をはっきり残す勝利は大きい。
スウェーデン対チュニジア。グループFのもう一つの初戦は、スウェーデンが5-1で勝利した。先に行われたオランダ対日本が2-2の引き分けに終わっていたため、この試合で勝った国は一気にグループの前へ出ることになる。そういう意味でも、スウェーデンにとっては大きな白星発進だった。
出典:FIFA公式
スウェーデンは、近年のワールドカップ予選で決して順風満帆だったわけではない。長い道のりを経て、ようやくこの舞台へ戻ってきたチームである。だが、この日のスウェーデンは、そうした不安を感じさせなかった。
試合は早い時間に動いた。
前半7分、ヤシン・アヤリが遠めの位置から思い切って右足を振り抜く。ボールは鋭くゴールへ向かい、スウェーデンが先制した。初戦の入りとしては理想的である。相手の様子を見る時間を長く取るのではなく、早い段階で自分たちの勢いを示した。
チュニジアは、守備に強みを持つチームとしてこの大会に入ってきた。予選でも堅さを見せてきた国である。だからこそ、早い時間に失点したことはかなり重かった。守備で試合を落ち着かせ、少ないチャンスを待つ。そういう計画が、開始早々に揺らいだ。
スウェーデンは、その揺らぎを逃さなかった。
前半30分ごろ、アレクサンデル・イサクが追加点を決める。ヴィクトル・ギョケレスのアシストから、スウェーデンの強力な攻撃陣が結果を出した。イサクとギョケレス。この二人の名前は、試合前から大きな注目を集めていた。どちらも得点を期待される選手であり、スウェーデンの攻撃の中心である。
その二人が初戦から絡んだことは、チームにとって大きい。
ワールドカップでは、エースが早く大会に入れるかどうかが、その後の流れを変えることがある。初戦で沈黙すると、次の試合から余計な重さが出る。逆に、早く結果が出れば、チーム全体の空気が軽くなる。この日のスウェーデンには、その明るさがあった。
ただ、チュニジアも前半のうちに一つ返した。
前半終了前、オマル・レキクがヘディングでゴールを決め、スコアは2-1となる。チュニジアにとっては希望をつなぐ一点だった。前半を2点差で終えるのと、1点差で折り返すのでは、後半への入り方がまったく違う。あのゴールで、まだ試合は終わっていないという空気が生まれた。
しかし、後半に入ると、スウェーデンが再び流れを握った。
59分、ギョケレスがゴールを決める。チュニジアの守備の乱れを突き、スウェーデンが三点目を奪った。この得点は、試合の流れを大きく決めた。チュニジアが前半終了前のゴールで少し戻しかけた空気を、スウェーデンがもう一度突き放したのである。
ここから先は、チュニジアにとって苦しい時間になった。
攻めなければならない。けれど、前へ出ればスウェーデンの攻撃にスペースを与える。守れば時間だけが過ぎていく。初戦でこの状況に追い込まれると、判断がどんどん難しくなる。
スウェーデンは、焦らずに試合を進めた。イサク、ギョケレス、アヤリが前線で相手に圧力をかけ、中盤も試合を大きく崩さなかった。派手な攻撃だけではなく、相手のミスを逃さない冷静さがあった。
終盤にはマティアス・スヴァンベリが四点目を決め、さらにアディショナルタイムにアヤリがこの日二点目を奪う。5-1。終わってみれば、スウェーデンの大勝である。
アヤリの二得点は、この試合の象徴だった。
早い時間に試合を開き、最後にも締める。大舞台でそういう働きができる選手がいると、チームは強く見える。イサクとギョケレスの名前が大きく取り上げられる中で、アヤリが試合の輪郭を作ったことも印象的だった。
チュニジアにとっては、かなり痛い敗戦である。
出典:デイリースポーツ
単に負けたのではない。守備の強さを見せたい初戦で、五点を奪われた。しかも、グループFにはオランダと日本がいる。ここで大きな得失点差を背負ったことは、今後の戦いに響く。次の日本戦は、かなり重い試合になる。
それでも、チュニジアに一つだけ残るものがあるとすれば、前半終了前のレキクのゴールである。完全に沈黙した試合ではなかった。苦しい中で一点を返した。だが、ワールドカップでは、その一点をどう次につなげるかが問われる。
グループFは、初戦を終えてスウェーデンが勝ち点3で先頭に立った。オランダと日本は勝ち点1。チュニジアは勝ち点0である。しかもスウェーデンは得失点差でも大きな貯金を作った。これは、三位通過の可能性まで含めて考える大会では、非常に大きな意味を持つ。
スウェーデンは、初戦で自分たちの存在を強く示した。
オランダと日本が引き分けた直後に、五得点で勝つ。これは単なる白星ではない。グループF全体に対して、「自分たちも主役になれる」と告げるような勝利だった。
一方のチュニジアは、立て直しが必要である。
守備の国として入った大会で、初戦から大きく崩れた。その事実は重い。だが、グループステージはまだ続く。日本、オランダとの試合で何を取り戻せるか。そこに、この敗戦の意味がかかってくる。
5-1というスコアは、派手である。
けれど、ただ派手だっただけではない。スウェーデンの攻撃陣が噛み合い、チュニジアの守備が耐え切れず、グループFの景色が一気に変わった。初戦の一試合で、ここまで空気が動くことがある。
ワールドカップは、始まった瞬間から容赦がない。
スウェーデンは大きな手応えを持って次へ向かう。チュニジアは、苦い現実を抱えて次へ向かう。同じ90分を終えても、両国の見ている景色はまったく違うものになった。



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