ストーリーより配役に驚いた1本――2012年『黒の女教師』の話

Amazonで偶然見つけた、見たはずなのに覚えていないドラマ

先日、Amazonをぼんやり眺めていたら「黒の女教師」というタイトルが目に留まった。どこかで見た覚えがある――そう思って調べてみると、2012年にTBSの金曜ドラマ枠で放送された作品だった。榮倉奈々さんが教師役、しかも初のダークヒロインに挑んだ回だという。

たぶん当時、一度はちゃんと見ているはずなのだ。でも中身はほとんど覚えていなかった。記憶に残っていたのはタイトルの響きだけ、というのが正直なところである。

学校で起きる問題を、金と引き換えに解決する教師たち

出典:www.amazon.co.jp

都立国文館高校を舞台に、生徒たちが抱えるさまざまなトラブルを、夕子(榮倉奈々)たち3人の女性教師が「課外授業」と称して裏で解決していく、という筋立てになっている。

たとえば、彼氏の指示で友人のメールアドレスを集めさせられ、脱法ハーブの取引に巻き込まれていく生徒。教師と禁断の恋に落ち、それを目撃されて口止めに走る生徒。

満員電車で痴漢だと因縁をつけられ、金銭を要求される生徒。学校側では表沙汰にできない、あるいは法律だけでは裁ききれないこうした問題に、夕子たちは高額な報酬と引き換えに、時には自分たちも法を犯しながら手を出していく。

そして物語の終盤では、4年前に学校の屋上から転落死した生徒の弟・トシオが転校生として現れ(第1話から)、夕子たちへの復讐を目論む、という縦軸の話に収束していく。一話ごとの生徒のトラブルを描きながら、その裏で少しずつ大きな謎が明かされていく構成自体は、決して悪くない作りだったと思う。

ただ、こうして粗筋を並べてみても、正直なところ強く印象に残るような衝撃展開があったわけではない。良くも悪くも「よくある学園ドラマの型」で丁寧にまとめられている、という感じで、見返してからも特別惹き込まれるというほどではなかった。

教室に並ぶ豪華すぎる生徒たち

広瀬アリス(中央)と土屋太鳳(右)
出典:TV Time

それよりも驚いたのは、教室に並ぶ生徒たちの顔ぶれである。松村北斗、千葉雄大、山﨑賢人、広瀬アリス、土屋太鳳、杉咲花――今の日本の映像界を支えていると言ってもいい面々が、当時はまだ「その他大勢の生徒」のひとりとして画面の隅に座っている。

大賀とガラス越しの杉咲花
出典:TVer

誰が誰やら、あとから調べて「え、この子が…!」と何度も声を上げてしまった。

山崎賢人と千葉雄大
出典:TVer

「愚か者!」のワンパターンさが、逆に心地よい

榮倉奈々さん演じる夕子が、最後に「愚か者!」と言い放って蹴りを繰り出す。このお決まりの流れが、毎回ほぼ同じテンションで繰り返される。ストーリーの中身としては目新しさはないのだが、この様式美というか、お約束のリズムを見に行っている感覚が、意外と心地よかった。

刑事ドラマの「決めゼリフ」を待つ感覚に近いのかもしれない。中身の謎解きよりも、あの一言と蹴りを見届けるためだけに次の回を再生していた、という気がする。

店主的まとめ

ストーリーの深みで語るドラマではなかったけれど、今をときめく俳優たちが「その他生徒A」のような立場で画面に映っているギャップそのものが、一種のタイムカプセルのように感じられた。物語よりもキャスティングの妙味を楽しむドラマだった、というのが今回見返しての率直な感想である。

がっつり集中して見るというより、ご飯を食べながらでも十分についていける。良い意味で「ながら見」に向いた、肩の力が抜けたドラマだった。

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