正直に言うと、『Heaven?〜ご苦楽レストラン〜』を見始めたのは、石原さとみが主演だったからだ。きれいな女性がコメディを演じるのを見るのが好きなのだ。

見てみると、飲食店のドラマとしてはかなり嘘が多い。墓地の中にフレンチレストランを開き、シェフ以外のスタッフは全員フレンチ未経験。こんな店は、現実には成り立たない。
それでも何度か「これは分かる」と思った。店をやっている身から見て、本当のことが描かれていたからだ。
腕はあるのに、自信がないシェフ

段田安則が演じるシェフ・小澤は、天才と呼ばれるほどの腕を持ちながら、どこか自信なさげだ。弱気になると、料理の味が薄くなってしまう。
ここが面白かった。そして、少し身に覚えがある。
私も、自分の腕を過信しているわけではない。それは店を何年続けても変わらない。だから小澤の味が薄くなる回は、笑って見ながら、自分のことも少し思った。
オーナーに振り回される現場

仮名子が掲げる「オーナーの、オーナーによる、オーナーのための店」。さすがにここまでの店はない。言い過ぎだ。
ただ、オーナーの行動に振り回されたことなら、私にも何回かある。
以前勤めていた店でのことだ。料理未経験のオーナーが、クリスマスディナー用の材料を、味見と言って勝手に食べてしまった。高級食材なので、予約分しか取っていなかった。
本人も反省はしていた。それでも口から出たのは
「なんとかしろよ」。
反省した上での僕らにお願いなのか、それともオーナーとしての命令なのか。なんとも言えない口調で言われた一言。
オーナー自身は「なんとかなるだろう」という軽い調子だった。こちらは、どうにか対処した。今となっては笑えるが、その瞬間ははっきり言って「この人は何を考えてるんだ」とあきれたことを覚えている。
客はそんなことを知らない。知られてはいけない。裏で何があっても、いつもどおり平静を装って皿を出す。
ロワン・ディシーの面々も、開店前から招待状の日付を間違える騒ぎを起こしながら、客の前では何事もない顔で料理を出していく。あの場面に多少共感が持てるのは、こういう経験があるからだと思う。
癖の強い表の4人

表に立つ4人、伊賀、川合、堤店長、ソムリエの山縣は、そろって癖が強い。笑顔が作れない男、無邪気すぎる元美容師見習い、牛丼チェーン上がりの頑固な店長、資格取得が趣味の元銀行員。
大げさに見えるかもしれない。ただ、私がこれまで経験してきた飲食店にも、個性の強い人間は多かった。水商売だからなのかどうかは分からない。この4人を、私はあまり誇張だとは思わなかった。
リアルじゃないから楽しめた

仮名子のような自由奔放な経営は、現実にはまず成立しない。現場は理想だけでは回らないし、数字も人手も衛生も、時に夢を削るほど現実的だ。話の運びも唐突だし、設定はかなり非現実的で、コメディが前に出すぎる回もある。
ただ、こういうことを並べても、結局面白いのはそういうところなのだ。
そもそも、このドラマに飲食店のリアルを期待して見る人はほとんどいないだろう。舞台が飲食店というだけで、コメディが前に出すぎていてもいい。これはこれで楽しかった。
逆に、これがリアルでシリアスな飲食店のドラマだったら、あちこちに違和感を覚えて、かえって楽しめなかったと思う。
中居正広主演の『味いちもんめ』がそうだった。和食の世界の話とはいえ、あれも少しやりすぎだ。多少のコメディはあったが、基本的にはリアルに寄せている。だからこそ引っかかるところが目について、私はほとんど見ていられなかった。
誰に向いているか
飲食店で働いたことのある人に勧めたい。オーナーに振り回された経験がある人なら、なおさらだ。大げさなコメディの中に、ときどき自分の職場の顔が見つかるはずだ。
なんだかんだ

シェフも表の4人も面白い。それでも結局、このドラマで一番個性が強いのは、石原さとみの仮名子だった。好き勝手に店を振り回すオーナーを、きれいな顔のまま全力でやりきっている。
嘘も多いし、粗も多い。それでも、なんだかんだで石原さとみはかわいかった。
あと、あいみょんの曲も、ドラマ全体のテンポを軽やかにするメロディーでよかった。

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