「仮想通貨ってどう思いますか?」と聞かれて、ビットコインを考えた

先日、知り合いの喫茶店で、そこのマスターから「仮想通貨ってどう思いますか?」と聞かれた。

正直に言うと、私は仮想通貨に詳しいわけではない。
ビットコインという名前は知っている。大きく上がったり、急に下がったりすることも知っている。けれど、人にきちんと説明できるほど理解しているかと言われれば、そこまでの自信はない。

だから、その場で偉そうなことを言うつもりはなかった。

ただ、少しだけ引っかかるものはあった。

そのマスターは、株は持っていないらしい。けれど、金は持っているという。さらに、誰かお客さんから聞いた話なのか、「金や銀はこれから10倍ぐらいになるそうです」と言っていた。

金を持つこと自体が悪いとは思わない。
金は昔から価値の保存手段として見られてきたし、現金や株とは違う資産として持つ意味もあるのだろう。

ただ、「なぜ金が上がるのか」「なぜ下がるのか」をあまり知らないまま、人から聞いた話をそのまま信じているように見えたことが、少し気になった。

そして、その人から「仮想通貨ってどう思いますか?」と聞かれたのである。

自分も詳しくない。
けれど、知らないまま「上がるらしい」「儲かるらしい」と考えることの怖さは、少しだけ知っている。

だから、今ならこう答えると思う。

「買いたいんだったら買ってもいいんじゃないですか。でもビットコインについて調べるかYouTubeを見ておいた方がいいと思いますよ。」

かなりそっけない言い方かもしれない。
けれど、今の自分の感覚としては、それが一番近い。

目次

私の投資は、かなり小さい

私は投資の専門家ではない。
株で大きく儲けているわけでもない。

今やっているのは、新NISAで毎月数千円を積み立てること。
それから、アメリカ株をほんの少しだけ持っていることくらいである。

アメリカ株といっても、生活を賭けるような金額ではない。
もしその会社が飛んだとしても、私の実生活にはあまり影響がないくらいの少額である。

もちろん、どこの会社でもいいと思っているわけではない。
誰もが知っている会社で、これがなくなることはまずありえないのではないかと思えるくらい、健全そうな会社を選んでいる。

それでも、絶対はない。

だから、基本的には売ったり買ったりをしない。
短期で儲けようとも思っていない。
どうしても必要な時だけ引き出すくらいの、預金に近い感覚で置いている。

本当の預金とは違う。
元本保証もない。
下がることもある。

それでも、銀行にただ置いておくだけではなく、少しだけ世の中の動きに自分のお金を触れさせている、という感覚である。

株を買ってから、ニュースの見え方が変わった

新NISAやアメリカ株を少しだけ始めてよかったと思うことは、儲かったかどうかだけではない。

むしろ、今のところ大きく儲けようとしているわけではない。
毎月数千円を積み立て、少額のアメリカ株を持ち、基本的には放っておく。

その程度である。

けれど、自分のお金が少しでも市場に置かれると、ニュースの見え方が変わる。

以前なら、為替介入という言葉を聞いても、あまり深く考えなかった。
円安と言われても、なんとなく輸入品が高くなるのだろう、くらいの感覚だった。
雇用統計、利上げ、利下げ、インフレ、ガソリン価格、半導体株の下落。

そういう言葉も、どこか遠い世界の話だった。

ところが、自分のお金がほんの少しでも株に入っていると、ニュースが急に自分の方を向いてくる。

なぜ円安になるのか。
なぜ為替介入するのか。
なぜアメリカの雇用統計が良いと株価が上がることもあれば、逆に下がることもあるのか。
なぜ金利が上がると株が下がりやすいのか。
なぜガソリン価格が上がるのか。
なぜ今、インフレが問題になっているのか。

以前なら流していたニュースを、少し立ち止まって見るようになった。

もちろん、すべてを理解しているわけではない。
むしろ、わからないことの方が多い。

けれど、株を買う前よりは、確実に経済ニュースを見るようになった。
それは、少なくとも私にとっては知識になっている。

株の怖さも、少しは知っている

ただ、私は株を楽観的に見ているわけではない。

実は、母が亡くなったあと、遺産として投資信託を引き継いだことがある。

その投資信託は、リーマン・ショックの大暴落で半分以下になった。
当時の私は、今よりもずっと投資のことがわかっていなかった。

下がっていく数字を見るのは、気持ちのいいものではない。
それが自分で一から積み立てたものではなく、母から引き継いだお金だったこともあり、余計に重たかった。

結局、私は損切りした。

今考えると、正しい判断だったのかどうかはわからない。
そのまま持っていれば戻ったのかもしれない。
もっと下がった可能性もある。

ただ、その時の私は、これ以上持ち続けることができなかった。

だから、株や投資信託が怖いものだという感覚は、少しはある。

画面上の数字が減るだけではない。
それが生活や記憶や、家族から受け継いだものと結びついていると、数字以上の重さを持つ。

投資は、上がっている時は楽しい。
けれど、下がっている時にその人の本当の許容量が出る。

私は、そのことを一度経験している。

だから今は、無理をしない。
毎月数千円の積み立て。
もしなくなっても実生活に大きな影響がないくらいの少額。
しかも、できるだけ健全だと思える会社。

このくらいの距離感でしか、私は投資と付き合えない。

だからこそ、知らないまま買うのは怖い

その経験があるから、「金や銀は10倍になるらしい」と聞くと、少し怖くなる。

金が悪いわけではない。
銀が悪いわけでもない。
ビットコインが悪いわけでもない。

問題は、よくわからないまま信じることである。

なぜ上がるのか。
なぜ下がるのか。
どんな時に売られやすいのか。
自分はどれくらい下がったら耐えられないのか。
そのお金が半分になった時に、生活や気持ちにどれくらい影響があるのか。

そこを考えないまま、「儲かるらしい」だけで買うのは危うい。

ビットコインも同じである。

ビットコインは、株ではない。
会社の利益があるわけではない。
国が発行する通貨でもない。
金のように手で触れるものでもない。

インターネット上でやり取りされる、中央管理者のいないデジタル資産である。
発行上限があることから「デジタルの金」と呼ばれることもある。

ただし、「デジタルの金」という言葉だけで納得してしまうのも危ない。

金とは歴史が違う。
株とは価値の見方が違う。
通貨とも性質が違う。

そして、値動きはかなり大きい。

だから、買いたいなら買ってもいいと思う。
大人が自分のお金で、自分の判断で買うなら、それはその人の自由である。

ただ、最低限、ビットコインについて調べるか、YouTubeでいくつか解説を見ておいた方がいいと思う。

誰かが言っていたから。
今から上がるらしいから。
金や銀も上がると言われているから。
仮想通貨も何となく良さそうだから。

その程度で買うには、少し値動きが大きすぎる。

YouTubeでもいいから、少し調べた方がいい

私は、専門書を何冊も読んでからでないと買うな、と言いたいわけではない。

今は、YouTubeでもわかりやすく説明している人がいる。
もちろん、全部を信じる必要はない。
むしろ、ひとつの動画だけを信じるのは危ない。

けれど、いくつか見ていると、だいたい同じような注意点が出てくるはずである。

ビットコインとは何か。
なぜ価格が上がったり下がったりするのか。
取引所と販売所は何が違うのか。
手数料はどれくらいかかるのか。
税金はどうなるのか。
暴落した時に自分は耐えられるのか。

少なくとも、そのあたりを一度聞いておくだけでも、「なんとなく買う」よりはずっといい。

そして、自分が理解できないものなら、無理に買わなくてもいい。

投資は、参加しない自由もある。
わからないものを見送ることも、ひとつの判断である。

投資は、世の中を見る入口でもある

新NISAやアメリカ株を少しだけ持つようになって、私が一番感じているのは、投資はお金を増やすためだけのものではないということである。

もちろん、お金が増えればうれしい。
減れば嫌である。

けれど、それ以上に、自分のお金を少しだけ市場に置くことで、世の中の見え方が変わった。

為替を見る。
金利を見る。
アメリカの雇用統計を見る。
インフレを見る。
ガソリン価格を見る。
半導体株の値動きを見る。
ビットコインのニュースを見る。

それらが、少しずつつながって見えてくる。

円安になれば、輸入品が高くなる。
原油価格が上がれば、ガソリンが高くなる。
インフレが続けば、金利が意識される。
金利が上がれば、株価に影響する。
株価が大きく下がれば、投資家はリスクの高い資産から逃げる。
その流れの中で、ビットコインも動くことがある。

以前なら、別々のニュースとして見ていたものが、少しずつ一本の線でつながってくる。

それは、株を買うまであまり考えなかったことである。

毎月数千円の積み立てでも、少額のアメリカ株でも、自分のお金がそこにあると、ニュースの読み方が変わる。

それは、小さな学びである。

「買えばいい」でも「やめておけ」でもない

だから、仮想通貨について聞かれても、私は「買えばいい」とも「やめておけ」とも言えない。

買いたい人は買えばいい。
ただし、何を買うのかは少し調べた方がいい。

それが今の私の答えである。

ビットコインに未来があるのかどうか、私にはわからない。
これから上がるのか、下がるのかもわからない。

ただ、ひとつだけ思うことがある。

知らないまま買うと、下がった時に耐えられない。

これは、リーマン・ショックの時に投資信託を損切りした自分の実感でもある。

自分が何を持っているのか。
なぜそれを持つのか。
どれくらい下がったら苦しくなるのか。
そのお金がなくなっても、生活に影響がないのか。

それを考えた上で買うなら、まだいい。

けれど、人から聞いた話だけで「10倍になるらしい」と信じるのは、やはり怖い。

仮想通貨について聞かれたことで、私自身もビットコインについて少し考えるきっかけになった。

詳しくないからこそ、適当に答えたくない。
詳しくないからこそ、調べる必要がある。

投資とは、もしかすると、お金を増やすためだけではなく、自分の無知に気づくためのものでもあるのかもしれない。

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