日本、オランダに二度追いつく|粘りでつかんだ勝ち点1と、熱い初戦の余韻

ワールドカップの初戦で、強豪国を相手に追いつく。

しかも、一度ではなく二度である。

オランダ対日本。グループFの初戦は、2-2の引き分けに終わった。数字だけを見れば勝ち点1ずつの分け合いである。だが、日本にとっては、かなり大きな意味を持つ引き分けだったと思う。

相手はオランダである。ワールドカップの歴史の中で、何度も頂点に近づきながら、まだ優勝には届いていない国。オレンジのユニフォームには、いつもどこか華やかさと切なさがある。ファン・ダイク、フレンキー・デ・ヨング、ガクポ。名前を並べるだけでも、簡単な相手ではないことがわかる。

日本にとっても、ここは大事な初戦だった。グループFにはオランダ、日本、スウェーデン、チュニジアが入っている。どこかで勝ち点を落とせば、すぐに苦しくなる組である。初戦でオランダと向き合い、どんな結果を持ち帰るか。それは大会全体の空気を決める一戦でもあった。

前半は慎重な時間が続いた。

互いに様子を見ながら、簡単には崩れない。オランダはボールを持ち、日本は相手の圧力を受けながらも集中を切らさない。大きな大会の初戦らしい、少し硬さのある45分だった。

試合が動いたのは後半である。

51分、オランダが先制する。ライアン・フラーフェンベルフのボールから、主将フィルジル・ファン・ダイクがゴールを決めた。オランダのキャプテンが、初戦でチームを前に出す。いかにも強豪国らしい、重みのある先制点だった。

出典:47NEWS

この時間帯、日本にとってはかなり苦しい展開になってもおかしくなかった。先に取られたことで、試合はオランダのものになりかけた。けれど、日本はそこで崩れなかった。

57分、中村敬斗が同点ゴールを決める。久保建英のパスから、日本がすぐに試合を戻した。先制されてからわずか数分で追いついたことには、大きな意味がある。落ち込む時間を作らなかった。相手の流れを長引かせなかった。

出典:
Yahoo!ニュース – Yahoo! JAPAN

ワールドカップでは、失点後の数分がとても大事である。そこで下を向くか、すぐに前へ出られるか。この日の日本は、後者だった。

ただ、オランダも簡単には止まらない。

64分、クリセンシオ・サマーヴィルが左足で決め、オランダが再びリードを奪う。これもフラーフェンベルフが関わった形で、オランダの攻撃の質が出た場面だった。日本が一度追いついた直後に、また突き放す。強いチームは、こういうところで相手の希望を折りにくる。

出典:47NEWS

スコアは2-1。

時間は過ぎていく。日本はもう一度追いかける立場になった。初戦で勝ち点を持ち帰るためには、もう一つゴールが必要になる。こういう時、見ている側の胸にも、少しずつ焦りが積もる。

それでも、日本は攻め続けた。

終盤に入っても、足を止めなかった。交代選手も含めて前へ出て、オランダの守備に圧力をかける。オランダはリードを守ろうとし、日本は最後の一点を探す。試合の空気は、徐々に日本の「まだ終わっていない」という気配に引っ張られていった。

そして88分。

鎌田大地が同点ゴールを決めた。土壇場での一撃である。オランダが勝利を手にしかけていた時間に、日本がもう一度追いついた。これで2-2。日本は、二度リードされながら、二度とも追いついた。

出典:サッカーダイジェストWeb

このゴールは、単なる同点弾ではない。初戦で勝ち点1を持ち帰るためのゴールであり、グループFを生き抜くための大きな一点である。強豪オランダを相手に、最後まで試合を諦めなかった証でもあった。

オランダにとっては、悔しい引き分けだろう。

二度リードした。しかも後半終盤まで勝っていた。それでも勝ち切れなかった。試合後の表情には、勝ち点2を落とした感覚が残ったはずである。内容として悪い試合ではなかった。むしろ、攻撃の形もあり、得点も取れていた。だからこそ、最後に追いつかれた悔しさは重い。

日本にとっては、価値のある勝ち点1である。

もちろん、勝てた試合だったとは簡単には言えない。オランダに先手を取られ続けたことは課題である。守備の入り方、失点の時間帯、強豪相手に主導権を握られる時間。そこには修正すべきものがある。

だが、それでも二度追いついた事実は大きい。

ワールドカップでは、きれいに勝つ試合ばかりではない。苦しい時間を耐え、失点しても戻り、最後の数分まで走り続ける。そういう試合から得る勝ち点が、あとで効いてくることがある。

グループFは、この引き分けで早くも混戦の気配を見せた。オランダと日本が勝ち点1で並び、次に日本はチュニジア、オランダはスウェーデンと向き合う。初戦で負けなかったことは、両国にとって最低限の意味を持つ。だが、勝ち切れなかったオランダと、追いついた日本では、同じ勝ち点1でも残る感情は違う。

強豪に押される時間がある。先に取られる。追いつく。また取られる。それでも最後に追いつく。派手な勝利ではない。だが、日本代表が世界の舞台で積み重ねてきた粘りが、ちゃんと形になった試合だった。

オランダのオレンジは、やはり強かった。

日本の青も、最後まで消えなかった。

2-2。

勝利ではない。けれど、敗戦でもない。ワールドカップの初戦で、強豪オランダを相手に二度追いついた。その事実は、日本にとって静かな自信になるはずである。

試合が終わったあとも、画面の向こうには、まだ少し熱が残っていた。日本が土壇場でつかんだ勝ち点1。その重みは、次の試合になってから、さらに見えてくるのだと思う。

この記事が気に入ったら
フォローしてね!

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

コメント

コメントする

目次