グループFでは、まずオランダ代表を紹介。
準優勝3回の歴史を持ちながら、まだワールドカップ優勝に届いていないオレンジ軍団である。
続いて、日本代表を紹介。
1998年の初出場から8大会連続出場へ。ベスト16の壁を越えようとする、青の積み重ねの物語であった。
その日本と同じグループFに入ったのが、スウェーデン代表である。
スウェーデンと聞くと、サッカー以外にもいろいろなイメージが浮かぶ。北欧、森と湖、寒さ、落ち着いた社会、シンプルなデザイン。どこか静かで、派手に騒がない国という印象がある。
出典:TABIPPO
しかし、サッカーの歴史を振り返ると、スウェーデンは決して地味な国ではない。
ワールドカップでは、1958年に準優勝している。
1994年アメリカ大会では3位に入った。
2018年ロシア大会ではベスト8まで進んだ。
世界の中心に常にいる国ではないかもしれない。だが、忘れた頃にしっかり勝ち上がってくる。大声で存在を主張するのではなく、静かに強さを見せる。スウェーデン代表には、そんな印象がある。
基本情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国名 | スウェーデン |
| 代表チームの愛称 | ブローグルト |
| 大陸連盟 | UEFA |
| ワールドカップ出場 | 13回目 |
| 初出場 | 1934年イタリア大会 |
| 最高成績 | 準優勝(1958年) |
| 主な成績 | 3位(1950年、1994年)、ベスト8(2018年) |
| 2022年カタール大会 | 予選敗退 |
| 2026年大会予選 | 欧州プレーオフを勝ち抜き出場 |
| 監督 | グレアム・ポッター |
| グループFの相手 | オランダ、日本、チュニジア |
1958年、自国開催で決勝へ
出典:FIFA公式
スウェーデン代表のワールドカップ史で、まず語られるのは1958年大会である。
この大会はスウェーデンで開催された。
そして、スウェーデンは決勝まで進んだ。
決勝の相手はブラジル。
この試合は、若きペレが世界に強烈な印象を残した大会としても知られている。ブラジルはこの大会で初優勝を果たし、サッカー王国への道を歩み始めた。
その相手として決勝の舞台に立っていたのが、スウェーデンだった。
結果は敗戦。
スウェーデンは準優勝に終わった。
だが、自国開催のワールドカップで決勝まで進んだという事実は、今もスウェーデンサッカーの大きな記憶として残っている。優勝国としてではなく、王者ブラジル誕生の場面に立ち会った国として、スウェーデンの名前はワールドカップ史に刻まれている。
北欧の国が、世界の決勝に立った。
それだけでも、十分に大きな物語である。
1994年アメリカ大会の輝き
出典:FIFA公式
日本の読者にとって、スウェーデン代表の記憶として比較的イメージしやすいのは、1994年アメリカ大会かもしれない。
この大会で、スウェーデンは3位に入った。
トーマス・ブロリン、ケネット・アンデション、ヘンリク・ラーション。
当時のスウェーデンには、印象に残る選手たちがいた。
1994年大会は、ブラジルが優勝し、イタリアのロベルト・バッジョがPKを外した大会として語られることが多い。だが、その大会でスウェーデンが3位に入っていたことも忘れてはいけない。
派手なスター軍団というより、組織力と粘り、そして前線の力を生かしたチームだった。
スウェーデンらしいと言えば、スウェーデンらしい。
一気に大会の主役になるというより、気づけば上まで残っている。
そのしぶとさが、スウェーデン代表の魅力である。
イブラヒモビッチという強烈な時代
近年のスウェーデン代表を語る時、ズラタン・イブラヒモビッチの存在を避けることはできない。
大きな体、圧倒的な技術、自信に満ちた言葉。
イブラヒモビッチは、スウェーデンという国の静かなイメージとは少し違う、強烈な個性を持った選手だった。
出典:THE ANSWER
彼がいるだけで、スウェーデン代表には特別な迫力があった。
ゴールを決めるだけでなく、存在そのものが相手に圧力をかける。そんな選手だった。
ただし、イブラヒモビッチの時代のスウェーデン代表が、常にワールドカップで大きな結果を残したわけではない。個人としての強烈さと、代表チームとしての成績は必ずしも一致しない。そこもまた、代表サッカーの難しさである。
それでも、世界中の人が「スウェーデン」と聞いてイブラヒモビッチを思い浮かべる時代があった。
その記憶は、今のチームにもどこか影を落としている。
スウェーデン代表は、イブラヒモビッチ後の時代をどう作るのか。
それは、この国にとって大きな課題だったはずである。
2018年、再びベスト8へ
2018年ロシア大会で、スウェーデンはベスト8まで進んだ。
この大会のスウェーデンには、イブラヒモビッチはいなかった。
だが、チームは強かった。
派手な攻撃サッカーではなかったかもしれない。だが、守備は堅く、組織は整っていた。相手が嫌がることをきちんと続ける。簡単に崩れない。チャンスを待ち、必要な時に得点する。
出典:サッカーダイジェストWeb
これもまた、スウェーデンらしい強さだった。
ワールドカップでは、見る側の記憶に残る派手なチームだけが勝ち上がるわけではない。
堅実なチーム、我慢できるチーム、試合を壊さないチームが、じわじわと上に進むことがある。
2018年のスウェーデンは、そのことを思い出させてくれた。
2022年を逃した悔しさ
しかし、2022年カタール大会にスウェーデンの姿はなかった。
欧州予選を勝ち抜けず、本大会出場を逃した。
2018年にベスト8まで進んだ国が、次の大会には出られない。これは、ヨーロッパ予選の厳しさでもある。
欧州には、強豪国が多い。
少し調子を落とせば、本大会に届かない。名前のある国でも、歴史のある国でも、予選で敗れることがある。
スウェーデンにとって、2022年を逃したことは大きな悔しさだったはずである。
そして、その悔しさを抱えたまま、2026年大会への道に入った。
遠回りでたどり着いた2026年
2026年大会への道も、スウェーデンにとって決して順調ではなかった。
予選では苦しんだ。
監督交代もあった。
簡単な道ではなかった。
だが、スウェーデンは最後に本大会への切符をつかんだ。
ポーランドとのプレーオフでは、3-2の激しい試合を制した。決勝点を挙げたのは、ヴィクトル・ギェケレシュである。
遠回りだった。
しかし、その遠回りにも意味がある。
楽に本大会へ来たチームではない。
苦しみ、迷い、立て直しながら、最後にたどり着いたチームである。
こういうチームは、大会に入ってから怖い。
最初から整っている強さとは違う、苦しんだからこその粘りがある。
グレアム・ポッターという不思議なつながり
2026年大会でスウェーデン代表を率いるのは、グレアム・ポッターである。
出典:FIFA公式
イングランド人監督がスウェーデン代表を率いる。
この組み合わせは少し意外に見えるが、ポッターにはスウェーデンとの深いつながりがある。
彼はかつて、スウェーデンのエステルスンドを率い、クラブを大きく成長させた。小さなクラブを引き上げ、欧州の舞台へ導いたことで知られている。スウェーデンのサッカーを外から眺めてきた人物ではなく、中で時間を過ごしてきた人物である。
だからこそ、スウェーデン代表の監督としても、単なる外国人監督という感じではない。
この国の空気を知っている人が、代表チームを預かっている。
スウェーデン代表は、静かで堅実なイメージを持つ一方で、今のチームには攻撃面のタレントもいる。ポッター監督が、その堅さと攻撃力をどう組み合わせるのか。そこが2026年大会の大きな見どころになる。
イサクとギェケレシュ、新しい前線の期待
今のスウェーデン代表で注目されるのは、やはり前線である。
アレクサンデル・イサク。
ヴィクトル・ギェケレシュ。
この2人の名前は、今のスウェーデン代表を語る上で欠かせない。
出典:theWORLD(ザ・ワールド)
イサクは、しなやかで技術があり、長身ながら柔らかさを感じさせる選手である。スウェーデンのストライカーというと、どうしてもイブラヒモビッチの影がちらつくが、イサクにはまた違う魅力がある。
ギェケレシュは、力強さと決定力がある。
プレーオフでスウェーデンを本大会へ導いたこともあり、2026年大会では大きな期待を背負うことになるだろう。
かつてのスウェーデンは、堅守と高さのイメージが強かった。
もちろん、その伝統は今もある。だが、今のチームには前線で試合を決められる選手がいる。
守って耐えるだけではない。
前で仕留める力がある。
この変化は、グループFでも重要になるはずである。
グループFで待つオランダ、日本、チュニジア
グループFでスウェーデンが対戦するのは、オランダ、日本、チュニジアである。
オランダは、グループの中心と見られる国だろう。
ワールドカップ準優勝3回の強豪であり、どの大会でも存在感を持つ。スウェーデンにとっては、守備の集中力と、少ないチャンスを生かす力が問われる相手である。

日本との試合は、こちらにとっても気になる。
日本は2022年カタール大会でドイツとスペインを破り、世界に強い印象を残した。今の日本は、ただ走るだけ、ただ守るだけのチームではない。技術があり、切り替えが速く、欧州で経験を積んだ選手も多い。

スウェーデンから見れば、日本はリズムを作らせると厄介な相手だろう。
一方で、日本から見れば、スウェーデンの体格、堅さ、前線の迫力は簡単ではない。お互いに違う強みをぶつけ合う試合になりそうである。
チュニジアも侮れない。
アフリカ勢らしい力強さと、国際大会での経験がある。スウェーデンにとっては、こうした相手に勝ち点を落とさないことが、グループ突破の鍵になる。

グループFは、オランダが大きな存在ではある。
しかし、その下は簡単に読めない。日本、スウェーデン、チュニジアのどこが流れをつかむかで、グループの景色は大きく変わる。
北欧の静かな強さ
スウェーデン代表には、派手な物語と、静かな物語の両方がある。
1958年の準優勝。
1994年の3位。
イブラヒモビッチという強烈な個性。
2018年のベスト8。
そして、2026年へ向かう遠回りの予選突破。
どれも、スウェーデンという国のサッカーを形作っている。
ただ、今回のスウェーデンに感じるのは、派手な看板よりも、静かな反撃の気配である。2022年を逃し、2026年予選でも苦しみ、それでも最後に戻ってきた。簡単ではなかったからこそ、大会で見せる一試合一試合に重みがある。
スウェーデンは、いつも大声で優勝候補と呼ばれる国ではない。
だが、ワールドカップの歴史を知る国であり、上位へ進む怖さを持つ国である。
グループFで、日本はこのスウェーデンと戦う。
それは、体格やパワーだけの相手ではない。歴史と粘りを持った、北欧のしたたかなチームとの対戦である。
青と黄のユニフォームが、北米のピッチに立つ。
その姿は、派手ではなくても、どこか記憶に残るかもしれない。
スウェーデン代表は、遠回りの末に戻ってきた。
その静かな反撃が、グループFでどこまで形になるのか。落ち着いて見届けたい。








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