ワールドカップ2026出場国紹介の第3回は、韓国代表である。
第1回はメキシコ代表、第2回は南アフリカ代表を取り上げた。どちらも2026年大会のグループAに入っている国である。そして今回の韓国代表も、同じくグループAに入っている。
グループAは、メキシコ、南アフリカ、韓国、チェコの4か国で構成されている。
出典:FIFA公式
メキシコは開催国のひとつであり、南アフリカは2010年大会の記憶を背負って戻ってくる国である。そして韓国は、アジアを代表するワールドカップ常連国である。
日本に住んでいると、韓国代表はどこか特別な存在に見える。
遠い国の代表ではない。テレビでもニュースでもよく見るし、選手の名前も耳に入ってくる。日本代表と比較されることも多い。近い国だからこそ、応援するというより、どうしても意識してしまう相手である。
韓国代表をひと言で表すなら、私は「近くて遠い、アジアの強豪」と書きたくなる。
まず、韓国代表の基本情報を整理しておきたい。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 国名 | 韓国 |
| 愛称 | 太極戦士 |
| 2026年大会 | アジア予選を突破して出場 |
| グループ | A組 |
| 対戦相手 | メキシコ、南アフリカ、チェコ |
| 監督 | 洪明甫(ホン・ミョンボ) |
| W杯出場 | 12回目 |
| W杯最高成績 | 4位 |
| 最高成績の大会 | 2002年日韓大会 |
| 代表の象徴的選手 | ソン・フンミン |
| 歴史的な選手 | 洪明甫、朴智星、李雲在、黄善洪など |
韓国代表とワールドカップを語るとき、どうしても避けて通れないのが2002年の日韓大会である。
日本と韓国が共催した、アジアで初めてのワールドカップだった。日本代表にとっても特別な大会だったが、韓国代表にとってはさらに大きな大会だったと思う。
韓国はこの大会でベスト4に進出した。
これは、アジア勢として今も非常に大きな記録である。グループリーグを突破し、決勝トーナメントでも勝ち進み、準決勝までたどり着いた。世界の強豪国が集まるワールドカップで、アジアの国がそこまで進むというのは、簡単なことではない。
当時の韓国代表には、ものすごい勢いがあった。
スタジアムを赤く染めるサポーター。走り続ける選手たち。球際の強さ。最後まで諦めない姿勢。技術だけでなく、気迫そのものが画面から伝わってくるようなチームだった。
日本で見ていた私たちにとっても、あの韓国代表は強烈だった。
出典:FIFA公式
同じ大会を共催している隣国が、どんどん勝ち上がっていく。もちろん、複雑な気持ちもあったかもしれない。けれど、アジアの国がワールドカップの準決勝まで行くということ自体には、やはり驚きがあった。
韓国代表の2002年大会は、単なる好成績ではない。
「アジアの国でも、ここまで行けるのか」という記憶を残した大会だった。
その中心にいたひとりが、洪明甫である。
出典:FIFA公式
洪明甫は、2002年大会の韓国代表で守備の中心を担った選手だった。冷静で、落ち着いていて、後ろからチームを支える存在だった。派手なドリブルやゴールで目立つ選手ではないが、チーム全体を引き締めるような選手だったと思う。
その洪明甫が、2026年大会では監督として韓国代表を率いる。
ここに物語がある。
出典:FIFA公式
2002年に選手として韓国をベスト4へ導いた人物が、今度は監督としてワールドカップに戻ってくる。これは、韓国サッカーの歴史そのものが一周して、また新しい場面に入っていくようにも見える。
そして現在の韓国代表を象徴する選手といえば、やはりソン・フンミンである。
ソン・フンミンは、韓国だけでなくアジアを代表するスター選手である。イングランドのプレミアリーグで長く活躍し、トッテナムでも中心選手としてプレーしてきた。スピードがあり、シュートが上手く、左右両足で得点できる。日本でも名前を知っている人は多いはずである。
出典:FIFA公式
韓国代表を見るとき、ソン・フンミンの存在は避けられない。
彼がいることで、韓国代表には「一発」がある。試合の流れが悪くても、ひとつのカウンター、ひとつの抜け出し、ひとつのシュートで空気を変えられる。そういう選手がいるチームは、相手にとってとても怖い。
ただ、ソン・フンミンも若い選手ではなくなってきた。
2026年大会は、彼にとってかなり重要なワールドカップになるはずである。代表の中心選手として、何度も大きな大会を経験してきた。だからこそ、この大会で何を残すのかが問われる。
韓国代表は、ソン・フンミンだけのチームではない。
しかし、ソン・フンミンの存在が大きすぎるため、どうしても彼を中心に見てしまう。これはスター選手を持つ国の宿命でもある。良いときは大きな武器になるが、調子が上がらないときには、チーム全体の不安にも見えてしまう。
出典:FIFA公式
それでも、韓国代表には伝統的な強さがある。
走る。競る。諦めない。最後まで圧力をかける。
日本代表が、近年はボールを扱う技術や組織的なビルドアップで語られることが多いとすれば、韓国代表にはもう少し身体の強さや気持ちの強さの印象がある。もちろん、今の韓国にも技術の高い選手は多い。けれど、韓国代表という言葉からまず浮かぶのは、やはり粘り強さである。
韓国代表は、ワールドカップの舞台を恐れない国になった。
かつては、アジアの国がワールドカップで欧州や南米の強豪と戦うこと自体が、大きな挑戦だった。だが韓国は、2002年にベスト4まで進んだ。2010年には決勝トーナメントに進み、2022年カタール大会でもグループを突破した。
もう、ただ出場するだけの国ではない。
韓国にとってワールドカップは、「出られたらよかった」という大会ではなく、「どこまで勝ち上がれるか」を問われる大会になっている。
これは、すごいことだと思う。
アジアの国がワールドカップに出る。そこで強豪国と戦う。時には勝つ。決勝トーナメントへ進む。それが少しずつ当たり前になっていく。その流れの中で、韓国代表は常に日本代表と並んで、アジアサッカーを引っ張ってきた。
だからこそ、日本から見る韓国代表は近くて遠い。
同じアジアの国である。距離も近い。ライバルとして語られることも多い。けれど、2002年のベスト4という記録は、日本にとってまだ届いていない場所である。
日本代表も成長している。近年はドイツやスペインに勝つような試合もあった。世界の中での評価も変わってきている。それでも、ワールドカップの最高成績という点では、韓国代表の2002年ベスト4は、今も大きな山のように見える。
韓国代表は、日本にとって近い存在でありながら、ある部分ではまだ遠い存在でもある。
2026年大会で、韓国はグループAに入った。
相手はメキシコ、南アフリカ、チェコである。
この組は、どの国にもチャンスがある。開催国メキシコは地元の声援を受ける。南アフリカは2010年以来のワールドカップで、メキシコとの開幕戦に特別な思いがある。チェコは欧州の伝統国であり、簡単な相手ではない。
韓国にとっても、楽な組ではない。
しかし、突破の可能性は十分にある。韓国はワールドカップの経験が豊富で、ソン・フンミンのような世界的な選手もいる。監督の洪明甫も、ワールドカップの重みを誰よりも知っている人物である。
重要なのは、初戦から自分たちの力を出せるかどうかだと思う。
ワールドカップは、最初の試合で大会の空気が決まることが多い。勝てば落ち着く。引き分けでも悪くない。だが負けると、次の試合から一気に苦しくなる。特にグループAのように、抜けた本命が一つだけというより、複数の国が突破を狙える組では、初戦の意味が大きい。
韓国代表には、2002年の記憶がある。
だが、いつまでも2002年だけで語られるわけにはいかない。あれは偉大な記憶である。しかし、もう20年以上前の大会でもある。今の選手たちにとっては、自分たちのワールドカップを作らなければならない。
ソン・フンミンの世代が、どんな記憶を残すのか。
洪明甫監督が、選手としてではなく監督として、どんな大会を作るのか。
韓国代表を見る楽しみは、そこにある。
韓国は、アジアの中で常に前を走ってきた国のひとつである。ワールドカップに何度も出場し、ベスト4という大きな記録を持ち、世界的なスター選手も生み出してきた。
しかし同時に、韓国代表にも難しさがある。
2002年が大きすぎるのだ。
あまりにも強い記憶があると、その後のチームは常にそこから比較される。ベスト16でも物足りないと言われることがあるかもしれない。グループ突破をしても、2002年と比べられることがあるかもしれない。
成功した過去は、誇りであると同時に、重荷にもなる。
これは、サッカーだけの話ではないと思う。
一度うまくいったことがある。大きな評価を受けたことがある。周りもそれを覚えている。すると、その後はどうしても「あのときのように」と見られてしまう。
けれど、時間は進む。
2002年の韓国代表は、2002年の韓国代表である。2026年の韓国代表は、また別のチームである。過去を背負いながらも、今の選手たちは今の大会を戦うしかない。
その意味で、韓国代表は「記憶と現在の間で戦う国」なのかもしれない。
メキシコ代表には、「強いのに届かない国」という切なさがあった。
南アフリカ代表には、「2010年の記憶を背負って戻ってくる国」という物語があった。
韓国代表には、「過去の大きな成功を背負いながら、今もアジアの強豪であり続ける国」という物語がある。
これは、ワールドカップを見るうえでとても面白い。
強豪国だけが物語を持っているわけではない。優勝候補だけがドラマを持っているわけでもない。韓国代表のように、近くにいるからこそ気になる国がある。ライバルとして見てしまう国がある。過去の記憶が強すぎるからこそ、今の姿を見届けたくなる国がある。
出典:FIFA公式
2026年大会で、韓国代表はどこまで進むのだろうか。
ソン・フンミンは、最後にもう一度大きな輝きを見せるのだろうか。
洪明甫監督は、2002年の記憶を監督として更新できるのだろうか。
日本から見ると、韓国代表はやはり気になる。
応援する、しないという単純な話ではない。近いからこそ気になる。比べてしまうからこそ気になる。アジアのサッカーを考えるとき、避けて通れない存在だから気になる。
近くて遠い、アジアの強豪。
韓国代表の2026年は、2002年の記憶をもう一度思い出させながら、それとは違う新しい物語を作る大会になるのかもしれない。








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