北川景子目当てで見て、風祭警部に持っていかれた『謎解きはディナーのあとで』

『謎解きはディナーのあとで』は、正直に言うと北川景子さん目当てで見た。確かに可愛いとは思う。ただ、そこまで推しというわけでもない。見終わって一番面白かったのは、意外にも椎名桔平さんの風祭警部だった。

櫻井翔さんの毒舌執事・影山と、北川景子さんの令嬢刑事・宝生麗子。2011年に放送され、当時はかなりの人気作だった。このドラマの面白さは謎そのものより、毎回同じ手順で進む「型」にある。そして、その型をいちばん支えているのは風祭警部だと思う。


目次

毎週同じ手順を踏む、という快感

事件が起きる。麗子と風祭警部が捜査して行き詰まる。夜、ディナーの席で麗子が影山に愚痴をこぼす。影山は「失礼ながらお嬢様、お嬢様の目は節穴でございますか?」と言い放ち、話を聞いただけで真相を言い当てる。

ほぼ毎回これだ。影山は現場に一度も行かない。いわゆる安楽椅子探偵で、手がかりは麗子の又聞きだけだ。

水戸黄門の印籠と同じで、どこで何が出てくるか分かっているから気持ちいい。殺人事件を扱っているのに、豪華なダイニングを一度通すだけで、話が知的なパズルのような手触りに変わる。重さが抜けるのは、たぶんこのためだ。


一番面白かったのは風祭警部

影山の推理が鮮やかに見えるのは、その前に風祭警部が盛大に外してくれるからだ。

風祭は「風祭モータース」の御曹司で、自信満々に的外れな推理を披露する。「犯人は帽子マニアだ!」のような単純な結論は、ミステリーでいう「最初に出てくる間違った解釈」そのものだ。

見ている側は、まず風祭の推理で「これは違う」という的を見せられる。そのあとに影山が出す答えとの落差が大きいほど、「なるほど」が強くなる。風祭が浅ければ浅いほど、影山が賢く見える。コメディ担当に見えて、実は謎解きの効き目を決めている役だ。椎名桔平さんがそれを照れずに演じ切っているから、毎回ちゃんと笑える。

麗子も型の中にいる。視聴者と同じ目線で驚き、怒り、間違える。影山に罵倒されてフォークを投げつけ、「クビよ、クビ!」と叫ぶところまで含めて型の一部だ。北川景子さんは確かに可愛いし、あの怒り方も様になっている。ただ、型の中の役としては、決まった場所で決まった反応をする人に収まっていて、風祭ほどの驚きはなかった。


終盤まで、大きな展開がない

いちばん物足りなかったのは、ラストに向かっていく流れだ。最終回が近づいても、これといった大きな展開がない。ほぼ毎回、事件を解決して終わる。それが最後まで続く。

麗子は刑事としてほとんど成長しない。あれだけ影山の謎解きを間近で見ているのに、次の事件ではまた短絡的に考える。影山との関係も、毒舌執事とお嬢様刑事という初期設定からほとんど動かない。シリーズを貫く大きな謎もないので、「どうせ最後は影山が解く」という予定調和がそのまま終わりまで続いてしまう。

一話ずつ見れば気持ちいい型が、通して見ると起伏のなさになる。このドラマの長所と短所は、たぶん同じところから来ている。


まとめ

北川景子さん目当てで見始めて、気づけば風祭警部に持っていかれていた。『謎解きはディナーのあとで』は、そういうドラマだった。

影山が現場に行かず、麗子が成長せず、風祭が毎回外す。その繰り返しが、このドラマの気持ちよさだ。その一方で、最後まで何も大きく動かない物足りなさにもなっている。

続きが気になって追いかけるタイプの作品ではない。疲れた日の夜に一話だけ見て、風祭の迷推理と影山の「節穴」で笑って終わる。それくらいの距離で付き合うのが、ちょうどいいと思う。

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