アルゼンチンが、王者としての初戦を勝ち切った。
ワールドカップ2026、グループJ。アルゼンチン対アルジェリアは、3-0でアルゼンチンの勝利に終わった。スコアだけを見れば、前回王者が順当に白星発進した試合である。だが、この試合には、ただの快勝では済まないものがあった。
リオネル・メッシである。
38歳になったメッシが、ワールドカップの初戦でハットトリックを決めた。長いキャリアの中で何度も見てきたはずの左足が、また世界大会の舞台で試合を決めた。もう何度も「最後かもしれない」と言われてきた選手が、まだ物語の中心にいる。その事実だけで、少し不思議な気持ちになる。
出典:FIFA公式
アルゼンチンは前回大会の王者である。
2022年カタール大会で、メッシを中心に長い悲願を果たした。あの優勝によって、アルゼンチン代表の物語は一つ完結したようにも見えた。メッシはワールドカップを手にし、ディ・マリアも大きな仕事を終え、スカローニのチームは世界の頂点に立った。
それでも、ワールドカップはまた始まる。
王者として臨む大会は、挑戦者だった前回とは違う。追いかける立場ではなく、追われる立場になる。初戦の相手がアルジェリアであっても、簡単な試合ではない。大会の入り方を間違えれば、一気に空気が重くなる。カタール大会の初戦でサウジアラビアに敗れた記憶も、どこかに残っていたはずである。
だからこそ、この3-0には大きな意味がある。
試合は、アルゼンチンが主導権を握る時間が長かった。ボールを動かし、相手を押し込み、焦らずにチャンスを探す。デ・パウル、マック・アリスター、エンソ・フェルナンデス。中盤には落ち着きがあり、守備も大きく乱れなかった。王者らしい入り方だった。
ただ、最初の一撃はやはりメッシだった。
17分、メッシが左足で決める。ペナルティエリアの外から、強く、鋭く、コースを突くシュート。何度も見たような形なのに、ワールドカップで見るとやはり特別に感じる。若い頃の爆発力とは違う。だが、タイミングと精度と判断の速さは、まだまったく衰えていないように見えた。
出典:Vietnam.vn
このゴールで、試合はアルゼンチンのものになった。
アルジェリアにとっては、早い時間に失点したことで難しくなった。ルカ・ジダンがゴールを守り、マンディやベンセバイニが守備を固める。前線にはグイリやマザもいる。アルジェリアにも能力のある選手は多い。だが、王者相手に先に失点すると、試合の設計は大きく変わってしまう。
それでも、アルジェリアは完全に崩れたわけではなかった。
前半のうちには、ゴールネットを揺らす場面もあった。だが、それは認められなかった。もしあの場面が得点になっていれば、試合の空気は変わっていたかもしれない。アルゼンチンが押しているようで、アルジェリアにも反撃の可能性はあった。
しかし、ワールドカップでは、可能性を結果に変えなければならない。
アルゼンチンはそこが違った。チャンスを待ち、相手の隙を見つけ、必要なところで決める。前半を1-0で終えた時点では、まだアルジェリアにも望みがあった。だが、後半に入ると、その望みは少しずつ遠のいていく。
60分、メッシが2点目を決める。
ゴール前での反応、位置取り、そして仕留める落ち着き。派手なドリブルで何人も抜いたわけではない。だが、そこにいるべき場所にいて、来たボールを決める。年齢を重ねたメッシの怖さは、こういうところにもある。必要な場所に、必要な瞬間に現れる。
2-0。
この時点で、試合の流れはかなりはっきりした。アルジェリアは前へ出なければならない。だが、前へ出ればアルゼンチンにスペースを与える。メッシ、ラウタロ、アルマダ、エンソ。ボールを持てる選手が多いアルゼンチンに対して、焦って出ていくのは危険である。
そして76分、メッシがハットトリックを完成させた。
ニコ・ゴンサレスの助けもあり、左足で再びゴールを射抜く。これで3-0。アルゼンチンの勝利は決まった。メッシはワールドカップでの得点数をさらに伸ばし、歴代最多得点記録に並ぶところまで来た。
この試合を見ていて思ったのは、メッシの時間がまだ終わっていないということだった。
2022年にワールドカップを掲げた時、多くの人が「これで物語は完結した」と感じたはずである。私もそう思っていた。メッシのキャリアに足りなかった最後のピースが埋まり、サッカー史の一つの物語が閉じたように見えた。
けれど、本人はまだピッチにいる。
しかも、ただ出場しているだけではない。王者アルゼンチンの初戦でハットトリックを決め、チームを勝たせている。これは余生のような大会ではない。記念出場でもない。メッシはまだ、アルゼンチンの勝利に直接関わる存在であり続けている。
アルゼンチン全体の強さも見えた。
メッシだけのチームではない。守備は安定していたし、中盤のボール回しも落ち着いていた。ラウタロ・マルティネスが前線で体を張り、エンソ・フェルナンデスが試合を整える。若い選手も入り、チームは前回大会の余韻だけで戦っているわけではなかった。
出典:www.mk.co.kr
ただ、それでも最後に語りたくなるのはメッシである。
それは仕方がない。あの選手が、またワールドカップで3点を取ったのだから。どれだけチームとして完成していても、メッシが決めると試合の意味が少し変わる。勝利が、記録になり、物語になる。
アルジェリアにとっては、厳しい初戦だった。
アルゼンチン相手に3失点。得点も奪えず、勝ち点を持ち帰ることはできなかった。ただ、相手が悪かったとも言える。王者であり、メッシがあれだけの出来だった。アルジェリアがこのまま終わるとは限らない。次の試合でどれだけ立て直せるかが重要になる。
グループJでは、アルゼンチンがまず一歩前へ出た。
同じ組にはオーストリア、ヨルダンもいる。初戦を3-0で勝ったことは、勝ち点だけでなく得失点差の面でも大きい。前回王者が、余計な不安を残さず大会に入った。それは他の国にとっても、少し嫌なニュースだろう。
3-0。
アルゼンチンは勝った。メッシは3点を取った。王者の初戦としては、ほとんど申し分ない結果である。だが、数字以上に残ったのは、メッシがまだワールドカップの主役でいるという事実だった。
ワールドカップには、若いスターが次々と現れる。
ムバッペがいる。ハーランドがいる。新しい時代の選手たちが、世界の中心へ出てきている。そんな中で、メッシがまだ自分の物語を続けている。しかも、過去の名残ではなく、現在の力として。
アルゼンチンの連覇への旅は、静かではなく、はっきりとした勝利で始まった。
その中心には、またメッシがいた。何度も見てきたはずなのに、やはり少し驚いてしまう。彼の物語は、まだ終わっていない。




コメント