美女シリーズ– tag –

1977年より「土曜ワイド劇場」の看板枠として放送された『江戸川乱歩の美女シリーズ』は、昭和のテレビドラマ史において極めて特殊で強烈な磁場を放つ金字塔である。乱歩文学の核である「エロ・グロ・ナンセンス」という、本来ならばお茶の間にそぐわないはずの退廃的なエッセンスを、絶妙な大衆エンターテインメント性と倒錯したロマンティシズムに包み込んで映像化した功績は計り知れない。

特筆すべきは、天知茂が体現したニヒルで知的な明智小五郎像の確立と、クライマックスにおける「ゴムマスクを剥いで正体を現す」という歌舞伎の見得にも通じるカタルシスである。渡辺岳夫による哀愁漂う劇伴が流れる中、業に囚われた「美女」たちの悲劇が暴かれる展開は、単なるミステリの謎解きを超えた「和製ゴシック」としての様式美を完成させていた。

本タグでは、乱歩の濃密なテキストがいかにして昭和のテレビ的フォーマットへと鮮やかに翻案されたのかを深く考察する。井上梅次監督をはじめとする映画界気鋭の演出家たちが持ち込んだ映像美、美術セットのキッチュな魅力、そして毎回のゲストとして画面を彩った女優たちの妖艶な存在感を通して、今なお色褪せない本シリーズの甘美な毒と演出構造を読み解いていく。