レイモンド・マッセイ– tag –

レイモンド・マッセイは、舞台演劇で培われた重厚な発声と長身痩躯の威厳ある佇まいで、歴史上の偉人や厳格な家長を演じさせれば右に出る者のいないカナダ出身の名優である。ジェームズ・ホエール監督の怪奇映画の古典『魔の家』(1932年)においては、狂気に満ちたフェム家の館に迷い込む生真面目な英国紳士フィリップ・ウェーバートンを演じた。妻役のグロリア・スチュアートと共に「正気と常識」を体現する彼の堅物なキャラクターは、同行するメルヴィン・ダグラスの都会的なシニカルさや、館の住人たちが放つゴシックな異常性を浮き彫りにする完璧な鏡として機能している。この「揺るぎない道徳観や厳格さ」は彼のキャリアの代名詞となり、後年のエリア・カザン監督作『エデンの東』(1955年)では、ジェームス・ディーン演じる主人公を抑圧する狂信的な父親役として結実することとなる。本タグでは、正義や道徳を体現する彼の硬質な演技が、いかにして周囲の狂気や若者の反抗というドラマティックな演出を際立たせる「強固な壁」として機能していたのかを深く考察していく。