メルヴィン・ダグラス– tag –

メルヴィン・ダグラスは、洗練された都会的な魅力とシニカルな話術でハリウッド黄金期のロマンティック・コメディを牽引し、後年には『ハッド』(1963年)や『チャンス』(1979年)で二度のアカデミー助演男優賞に輝いた名優である。しかし、当ブログの文脈において見逃せない彼の特筆すべき功績は、ジェームズ・ホエール監督の怪奇映画の傑作『魔の家』(1932年)における極めて現代的なアプローチにある。ボリス・カーロフの異形、アーネスト・セシジャーの狂気、チャールズ・ロートンの重厚感といった「ゴシックな過剰さ」が渦巻く嵐の夜の館において、ダグラスは世に倦んだような態度と軽妙なユーモアを崩さない青年ロジャーを演じた。彼のスマートで現実的な存在感は、異端の者たちの狂気を相対化する観客の視点(アンカー)として機能し、ホエール監督特有のブラックユーモアを際立たせる見事なコントラストを生み出している。本タグでは、コメディやメロドラマで培われた彼の軽やかな洗練が、いかにして閉鎖的な怪奇映画の空間に風穴を開け、演出に多面的な奥行きをもたらしたのかを考察していく。