森繁久彌– tag –
昭和の日本映画、そして演劇界において、喜劇からシリアスな文芸大作までを圧倒的な表現力で網羅した国民的名優、森繁久彌。
『社長』シリーズや『駅前』シリーズで見せた、絶妙な「間」と軽妙なアドリブによる喜劇芝居で大衆を沸かせる一方、豊田四郎監督の『夫婦善哉』や『警察日記』などでは、人間のどうしようもない弱さや滑稽さ、そして深い哀愁(ペーソス)を見事に体現しました。
ただ笑わせるだけでなく、その背中に人生の酸いも甘いも滲ませる唯一無二の芝居は、激動の昭和を生きる日本人の姿そのものをスクリーンに焼き付けたと言っても過言ではありません。
ここでは、軽快なユーモアと胸を打つ哀愁を自在に行き来した森繁久彌の至芸と、彼の名演によって血肉を与えられた名作群の奥深い人間模様をじっくりと考察していきます。