エリッヒ・フォン・シュトロハイム– tag –

サイレント映画期において、「あなたが憎まずにいられない男(The Man You Love to Hate)」の異名で強烈な印象を残した稀代の怪優にして、映画史に燦然と輝く呪われた天才監督、エリッヒ・フォン・シュトロハイム。

監督としては『グリード』や『愚なる妻』などで見せた偏執狂的なまでの細部へのこだわりと徹底したリアリズムにより、ハリウッドのスタジオ・システムと幾度も激しく衝突し、自らの芸術的野心を散らせた悲劇の巨匠である。一方で俳優としては、ジャン・ルノワール監督の『大いなる幻影』における誇り高きドイツ貴族将校役や、ビリー・ワイルダー監督『サンセット大通り』における元・大監督の執事役など、自身の数奇な映画人生そのものをメタ的に体現するような役柄で、スクリーンに圧倒的なペーソスと威厳を刻み込んだ。

本タグでは、シュトロハイムがスクリーンに焼き付けた退廃的な悪徳の美学や、妥協を許さない狂気とも言える演出手法、そして俳優として放った唯一無二の存在感について深く考察する。フリッツ・ラングやF・W・ムルナウらと同時代を生きた彼が、サイレントからトーキーへと移り変わる激動の映画産業の中で何と闘い、何を遺したのか、その表現の深淵に迫っていく。