チャールズ・ロートン– tag –
チャールズ・ロートンは、1930年代から50年代のハリウッド黄金期において、圧倒的な肉体的存在感と精緻を極めた心理描写で、観る者の心に深い爪痕を残した稀代の名優である。ジェームズ・ホエール監督の『魔の家』(1932年)など初期の怪奇・サスペンス作品からキャリアを確立した彼は、『ノートルダムの佝僂男』(1939年)における異形のカジモドや、後年の『情婦』(1957年)における老練な弁護士に至るまで、傲慢さや醜悪さの奥底に潜む「痛切な哀しみ」を見事に演じきった。シェイクスピア舞台で培われた完璧な台詞回しと、時に戯画的ともいえる強烈な身振りは、スクリーン上のどんな名優をも食ってしまうほどの引力を持っていた。さらに、生涯にただ一本だけ監督した『狩人の夜』(1955年)では、ドイツ表現主義の系譜を継ぐ悪夢的な光と影の映像美を構築し、その後の映画作家たちに計り知れない影響を与えている。本タグでは、暴君から社会の周縁に追いやられた者までを規格外のスケールで怪演し、映画史において極めて特異な「個」を貫いた彼のキャリアを紐解き、その肉体と声が作品の演出にもたらした圧倒的な重力を考察していく。