アルフレート・アーベル– tag –

アルフレート・アーベルは、1920年代を中心とするヴァイマル共和国(ドイツ)映画の黄金期において、ドイツ表現主義の傑作群にその名を深く刻み込んだ名優である。彼のキャリアを象徴するのは、フリッツ・ラング監督のSF巨編『メトロポリス』(1927年)における、摩天楼の冷徹な支配者ヨハン・フレーダーセン役だろう。当時の表現主義映画で主流であった、舞台演劇的な誇張された身振りとは一線を画し、アーベルは極めて抑制の効いたモダンな芝居をスクリーンに持ち込んだ。権力者の冷酷さの奥底に見え隠れする苦悩や人間的な脆さを、細やかな表情や静かなる佇まいで体現した彼の知的なアプローチは、F・W・ムルナウ監督作をはじめとする数々の名作でも遺憾なく発揮されている。本タグでは、サイレントからトーキーへの移行期という激動のヨーロッパ映画界において、作品に重厚な陰影とリアリティをもたらした彼の出演作を紐解き、その特異な存在感が当時の演出にどのような影響を与えたのかを考察していく。